第6話 【いただきます】
((.......さい))
((お....て......ください))
((起きてください!))
脳に直接語りかけられているようなこの感じだった。
俺はゆっくりと目を開けた
そこには見知らぬ天井と一人の少女が見えた。
頭にモヤがかかったようだ。
まるで思考するのを邪魔するかのように
...ボーッとする...
((おはようございます
いや 今は こんばんは ですかね?))
その言葉で俺は我に返った
((すみません 僕寝てしまったみたいで...))
((いえ 私の方こそ起こしてしまってすみません
でも、作った夕飯を食べて頂かないと勿体ないと思いまして...))
夕飯という言葉に俺の腹がグゥーっとなった。
((これはお恥ずかしい、でもわざわざ夕飯まで作って頂けるなんてどう感謝の言葉では言い表せません))
((これくらい大丈夫ですよ、まあ もしかしたら貴方に仕事手伝いとかをしてもらうかもしれませんが...でも右も左も分からない状態でしょうし、この世界で生きていけるまで私たちが力を貸しますよ))
((...何故 そんなに僕に親切にしてくれるんですか?))
((...気まぐれですよ...))
彼女はそう言うと少し悲しそうな顔をしながら笑った。
((さて夕飯も冷めてしまいますし、早く行きましょうか))
夕飯置いてあるテーブルに向かうことにした。
俺とカレンとミルは椅子に座った。
カレンとミルは何かを話しながら皿に入ったスープとパンを食べている。
俺も手を合わせて
「いただきます」
といい食べ始めようとした。
彼女達は不思議そうに見つめていた。
((前々から聞こうと思っていたのですが
貴方のとる不思議な行動は何なのですか?))
ミルは不思議な行動をとる俺に聞いてきた
((これは僕の世界の礼儀の一つです。
いただきます という言葉には全ての命に感謝をしてその命をいただくという意味があるんですよ))
世界の礼儀というか日本の礼儀だがまあ細かいことはいいだろう
((そうなんですか 変わった風習ですね 、
でも素敵な行動だと思いますよ))
そう言う彼女は関心したかのように頷いていた
まあ俺は毎回いただきますの意味を考えながら
食べている訳では無いしただそういうものなのだという認識しかないのだが
そう思っていると彼女達は会話を始めた
そして 手を合わせて
「 「イタダキマス」 」
驚いた 彼女たちも日本の文化をやってくれるなんて...言い表せない喜びと感動を感じた。
((どうでしたか どこかおかしい所はありましたか?))
((いえなかったですよ 完璧でした
なんか ありがとうございます))
((なんでお礼を言うんですか?
もしかしてそれも礼儀の一つですか?))
((いや今のは僕がただ言いたかっただけで))
((なんですかそれ よくわかんないですね))
彼女はそう言うと嬉しそうに笑った
そして彼女は気づいたように
((あっ すみません 食事を止めてしまって、
さあ どうぞどうぞ 食べてください ))
((はい いただきます))
パン、スープ、何かの焼かれた肉、野菜のようなもの、あとは飲み物が置かれていた。
パンはスープ浸して食べるらしい、最初はパンに手を伸ばした。
パンは固くスープに浸さないととてもじゃないけど食べられそうになかった。スープの味は薄いトマトスープような味がした。
次に肉に手を伸ばした固く歯ごたえがある少し血の味がする。塩みたいなもので味付けされていた。
肉を喉に流し込むためにコップような容器を手に取って飲んだ。
少し酸っぱくて炭酸のような刺激があった。
肉の後味を消して口の中がさっぱりとした。
最後に野菜のような何かだ少し食べるのに抵抗があるが口に運んだ。
苦い...言うなれば大葉のような苦味だ。
単体では食べればと悟ったので肉と一緒に食べる事にした、
すると あら不思議
野菜?が肉の血なまぐささを消して肉は野菜の苦さをかき消している。
それを飲料で流し込む 、美味しい。
日本の食事には圧倒的に劣っている、
きっと日本人の誰もこの料理を美味しいとは言わないだろう。でも美味しかった。
今まで生きてきた中で一番美味しかった。
きっと彼女達が見知らぬ俺のために作ってくれたからこそなのだろう。
そこで俺はある言葉を思い出した
【食事は何を食べるかではなく誰と食べるか】
という言葉を...
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