第5話


最近、彼氏の様子が、おかしいと感じる

一緒にいる時

手を握った瞬間

目線の動き

何かを、食べているとき

私と一緒にSEXを居ているとき

何か、妙な、胸騒ぎを、私は、覚えていた

どこか、私の手に届かない

何かを、抱きしめているような

砂の城を、掴んでいるような

そんな、不安感

私は、彼と付き合い始めて、半年が、経とうとしていたが

その日、彼は、何か、用事があると言って、一ヶ月ほど前から、私に、前もっての連絡をしていた

それについて、特に私は、特に、不審に思う事もなかった

それこそ、人間と言うものは、生きていれば、様々な用事が、絡んでくる

私だって、祭りの用意や、受験勉強

彼と一緒にいる以外にも、様々な行為を、行わなければならないし

それを、彼に話すこともあれば、話さないこともある

私は、その程度のことと考えていたが

しかし、むくりと、起き上がった、その奇妙な、疑惑は、

私を、彼の行動の心理は、一体何なのかと、考えさせた

とりあえず、私は、彼が、予約があると言う

放課後に、集点を当てて、探りを、入れてみることにした

しかし、一週間ほど前から、彼の好きな本の発売日や

予約を入れそうな、場所を考えてみたが

ここになって、彼が、一体どこに行きたいのかを、全く知らないことに、気が付き始めた

二人でいる時は、なんとなく、二人で、無理のない方向か、私が、やりたいことを、決めていたが

彼がそれに対して、何か、嫌だと言った記憶はない

それを、肯定だと、私は、考えていたが、もし、それが、違っていて

彼に無理をさせていたのだとしたら

彼は、一体、私に黙って、いや、断って、何処に行こうとでも言うのだろうか

外枠から、埋めて言った、そのクロスワードパズルは

結局、そのワードを、私の脳内で、完結させる事が出来ず

学校での、行事を、習慣を、調べているうちに、彼が、ついている

図書員会が、如何やら、その日は、文化祭の展示に出す用意で、放課後も残るのだと知り

私はそこで、ようやく、落ち着く運びとなった

しかし、なぜだろうか、私は、部活を、その日は、早くやめ

図書室に、制服に、着替えると、廊下を、歩いていた

それは、軽く、スキップに、似たような、早歩きであり

途中、吹奏楽部の連中に、ぶつかりそうになりながら

暗い校舎の廊下を抜けて、一人、図書室の

見える位置まで、来ていた

外は、ミゾレ交じりの雨が、ぼたぼたと中庭に降り注ぎ

その灰色の光を、わずかながらに、浴びながら

黒い背中が見えた

その黒い制服を着た大きな姿は、何度も、見て、忘れることもない、彼であった

しかし、何かに引っ張られるように、明かりの漏れる、図書室に入ると、彼は一人で、その後ろ手に、ドアを閉めた

私は、暖かな空気が漏れ出したような

それを、追うように、図書室の前に行くと

私の髪とは、対照的に、お臍辺りまで、伸ばしたような長い黒髪を

前髪を、一直線に、両断したような、線の細い女が、彼の横に、仲良く座っていた

別段楽しそうに、喋っているわけではなかったが

その目は、明らかに、物言わぬその動作とは対照的に、楽しそうな雰囲気を、語っている

あいつは、気が付いているのだろうか

一応、分別は、付いてはいるとは、思ってはいるが

しかし、誰構わず、行くようなやつだと、私が、気が付いていないだけなのだろうか

不意に、彼女が、何か、喋って、彼の肩をつかんだ

私は、扉の入り口で、ただ、銀色の引き戸の金属のへこみを、温度が常温になるほどに、掴んだまま動けずにいた



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