第10話 戻れない体 呼吸ですら感じさせられる恥辱

皮を着せられてから一週間目の朝。

ベットから起きたロンがリビングに行くと、サラは珍しくローブと魔女帽子を被っている。

手にはホウキ、肩からマジックバックもかけている。


「ちょっと出かけてくるね。今日は適当に休んでていいよ」


そういってドアに手をあて、何かの魔法陣を展開した。

するとロンでは開かなかったドアが開き、外への出口が開いた。


(開いた!今だ!)


ロンはここから逃げようとドアに向かって駆けだそうとする。

しかし、何かを感じたのかサラは素早く振り返り、ギロッとロンを睨みつけた。


「変な気を起こさないようにね?もし何かしたら…わかってるよね?」


ロンは気圧されてしまい動けなくなってしまった。

今は大人しくするしかなかった。


「うん、よろしい♪夕方くらいには帰るね。お留守番よろしく!」


サラはニコっと笑い、手を振って出て行ってしまった。

部屋のドアが閉まり、またロンでは開けられなくなってしまった。

ロンは大きく鼻から息を吐いた。


(ふぅぅ…早計だった。でも今なら色々試せるかもしれない)


ロンは今マスクのせいで鼻でしか呼吸ができない。

しかも全身をヌルヌルの皮で覆われていて、上手く呼吸が整えられないため、あの異常な力や技が出せない状態にある。


逆に言えば呼吸さえ整えられればなんとかなるかもしれない。

それに今のサラは皮を纏っていない。拘束魔法も使えないはずだ。

つまりサラが新しい皮を着る前に力を取り戻せば突破口を見出せるかもしれない。


(あの女がいない今がチャンスだ。少しづつでも…うっ!…ふぅ…ふぅ…感を取り戻さないと)


しかし現実はそう甘くなかった。

ロンは今までずっと武術の修行にかまけていたせいでこういった性的な刺激に全く耐性がないのだ。

しかも女性との経験もほとんどない。

鼻から皮に未だに染みついているサラの汗と女の匂いを改めて感じてしまう。


(はぁ…はぁ…ふぅぅ…女くさい…頭がくらくらしそうだ)


そして元々五感が優れていることが仇となり、実際今も呼吸するだけで皮の中にびっしりついている触手を感じてしまい、性的に興奮させられてしまっている。

目を瞑るとその触手の形状まで想像できてしまうくらい肌でヌルヌルを堪能させられている。


(うぐ!何を想像しているんだ!落ち着け…あの修行に明け暮れた日々を思い出せ…)


しかし思い出されるのはサラに何回も絶頂させられて意識まで飛ばされた夜のこと。

アソコにむしゃぶりついている筒状の触手、肛門をグネグネと蠢く棒状の何かの動きを余計に想像してしまうのだった。


(はぁ…はぁ…ちがうだろ!集中しろ…何を考えてるんだ)


呼吸に集中しようとすればするほど厭らしい妄想が膨らんでしまう。

どんどん高みへと昇らされてしまうのだった。


(うぐ!…あっ…やばい…だ…だめ…いっ!…うぅぅ)


ロンは膝から崩れ落ち、両手を床についてしまった。

オムツの中にまた熱いつゆがトロっと漏れ出す。

誰かに触られているわけでもないのに軽くイきそうになってしまったのだ。


(はぁ!はぁ!だ…だめだ…このままじゃ…いったい…どうすれば…)


ロンは呼吸さえまともに整えられない今の自分が情けなくなり、マスクの中で悔し涙を流していた。



あれから何時間が過ぎただろうか。

ロンはあのあと何回か呼吸を整えようと挑戦したものの結果は同じ。

何回も皮にグチュグチュに感じさせられてしまった。

その証拠に恥部をびちょびちょにしてしまっており、履かされたオムツからもう少しで漏れてしまうほどだった。


(はぁ…はぁ…俺はこれから…どうなってしまうんだろう。ずっとこの恰好であの女の言いなりなのか?)


ロンが床に横たわり絶望に打ちひしがれていると、部屋のドアが急に開いた。

サラが帰ってきたのだ。


「ただいま~…あれ?どうしたどうした!?体調でも悪いのかい?」


サラは慌てた様子でロンの上体を起こし、偽りの胸に耳を当てた。

急に乳房を刺激されたせいで、中のロンの乳首まで皮に甘噛みされ情けなく体をビクつかせてしまう。


「…興奮してるけど大丈夫そうだね。でも…エッチな匂いがするね?」


サラはニヤッと笑い、ロンのオムツの中に手を突っ込み恥部をまさぐった。


(あうぅぅ!!さ…さわるな!)


ロンは体をビクつかせながらサラの手をギュッと掴む。

そのせいで余計に皮に全身を刺激されるとも知らずに…


サラはオムツから手を抜くと、親指と人差し指を離したりくっつけたりしている…糸を引いていた。


「すごいベちょべちょしてるね?ナニしてたんだい?ふふふ♪」


粘液まみれの手を見せられロンはマスクの中で顔を真っ赤にする。

別にやましいことをしていたわけではないが、結果としてこんなに自分から感じていてしまったことに。


「まぁいっか。今日は結構稼げたんだよ?ふふふ♪」


そう言ってサラはロンをほっといて椅子に座り、肩にかけていたマジックバックの中から何かの布袋を取り出し、テーブルの上に置いた。

ジャラ!という金属音とともに袋の中から何枚もの硬貨が溢れだす。

サラはその硬貨を数えながら上機嫌に鼻歌を歌っていた。


「今日は商会の奴らにも見つからなかったし、君のおかげもあってポーションがいっぱい作れてるからね…ふんふふ~ん♪」


(はぁ…はぁ…ポーション…商会?…!!)


ロンは当初の目的を思い出した。

いや、皮の刺激のせいでそれどころではなかったというべきか。

サラはおそらく街へ行き、流通価格よりも安価でポーションを売りさばいて荒稼ぎしてきたのだろう。

ロンはそもそも依頼主が商人商会の賞金首であるサラを捕まえにきたのに、今となってはそのサラに捕まり、その上サラに加担してしまっている。


(俺はなにをやっているんだ。まぁ商会に義理はないが、でも街でトラップも仕掛けてるんだろ?早く何とかしないと…)


今もサラの稚拙なトラップに嵌り、困っている人もいるかもしれない。

ロンは依頼を果たせず、今も何もできない状況に罪悪感を感じていた。

そんなロンの気持ちを知ってか知らずかサラは何やらニコニコしながら喋り出した。


「あと私の研究も結構進んでね、街に仕掛けてある魔法陣なんだけど…あれただの悪戯じゃないんだよ?知りたい?ん?」


サラはロンに笑顔で話しかける。

今の上機嫌のサラならなんでも話してくれそうだ。

ロンは情報収集もかね、大きく頷いて興味ありげな態度を取った。

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