第4話
懐かしい仲間を思い出しながら目の前の姫様を見る。
どことなく似てるんだよなぁ…雰囲気?う~む、どこだろうか。
そんなことを思っているとどうやら最後の案内場所に来たらしい。ここは訓練場その4だな…この学園、中々広い上に結構人もいるので訓練場が三つあるのだ。
一つは道場みたいな屋内、もう一つはだだっ広い屋内、もう一つは決闘場のような屋外の場所、そして今来たここがだだっ広い屋外だ。
「ここが屋外の訓練場その2だよ~!結構皆よく使うんだけど今日は全然いないね」
「まぁ案内で結構経ったしね。とはいえ確かに今日は人が少ないな…」
「多分今日はお姫様が来て中々凄かったから先生たちが帰らせたのかもな」
実際昼休みとかとんでもなかったしな、俺達の教室がまるで人気の壁サーみたいな人の集まり具合でやばかった。まぁ壁サーって言っても伝わらないけども。
そう思っているとフィリーがにんまりと笑う。これは嫌な予感。
「丁度いいしさ、ルインさんとちょーっと戦ってみたいんだけど…どう?」
フィリーは体が動かすのが好きな奴なのだがこんな感じで興味がある人には模擬戦をお願いしてくる。因みに俺も同じことを言われて軽く模擬戦したのだが本人は全然攻撃が当たらずに不服そうにしていた。お前、拳で語り合おう!みたいな感じで自分が気持ちよくなりたいだけだろ。と思ったので軽くあしらったらつまんないー!と駄々をこねられたので渋々相手してやった。まぁそれでもあしらって大変ご立腹だったが。お陰で目をつけられてしまったので今はより力を抑えているのだが。
「いいね。僕もルインさん次第だけどちょっとみてみたいかな」
「え、えぇ。勿論いいですよ!私も体を動かすのは嫌いではないので」
…脳筋カップルめ。まぁ人のことも言えない訳で、俺も気になる。
先祖返りと言われていたが一体どれ程の力なのか興味しかなかった。
―――準備を終えた二人は向かい合っている。俺とシモンは外野で座りながらそれを眺めていた。
「じゃあいくよ!」
「いつでもどうぞ」
どうやらルインは受けでいくらしい。フィリーはそれに応えるべくガンガン攻めるようだ。その見立て通りフィリーは地面を蹴ってルインに殴りかかる。
「はあっ!」
フィリーは身体強化していてあっという間にルインの懐に入ると躊躇いもなく腹パンしようとする。身分は関係ないという学園のスタンスと、ルイン本人が気にしないと言っていたとはいえお姫様に躊躇なく腹パンしに行くフィリーに感心していると
「無駄です」
ルインは魔法で見事に防いでいた。とはいえフィリーは中々の実力で、魔法の障壁など粉砕するくらいの力はある。防げるということはそれだけの実力があるということだ。そう思っていると二人はお互い乗り始めたのかどんどん激しくなっていく。
「ヨハネ的にはルインさんはどう?」
「どう…か。実力という意味で言うなら今見ている限りではフィリーの方が少し有利だとは思うな。ただそもそもとしてフィリーは近距離、お姫様は遠距離の攻撃が主な感じのことを考えると仕方のないことだろ。それに―――」
「それにまだお互い全力じゃ、ない?」
「あぁ」
二人とも全力ではない。フィリーもまだまだ身体強化も出来るしルインは精霊だ。
精霊は他と違い一人一人が起源となる魔法がある。火を起源として生まれた精霊は強力な火の魔法が使えるようにルインもまた根源である魔法があるはず。そうなるとどっちが強いかなどは予測不可能だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます