書き物を読む
研究、バイト、就活。
さんそくのわらじを履く今の生活において、貴重な時間が幾つかある。
ひとつ、コーヒーと向き合う時間。
コーヒーは嘘をつかない。
美味しく淹れられたら美味しいし、美味しく淹れられないと十分に魅力を引き出せない。その点においてコーヒーは今のありのままの自分(入れる時も、味わう時も)と向き合う機会を与えてくれる。
ふたつめは自炊をする時間。自炊は一人暮らしにおいて、一番気にかける家事の一つだ。今食べているものが自分を形作っている。食べている瞬間は幸せだ。味とこの幸せな瞬間を生み出す行為こそが自炊だ。
みっつめに、書き物を読む時間。これはさらにいろんな種類がある。
自分が読みたい本を読む時間。最近はエッセイ(ノンフィクション)と小説(フィクション)を行ったり来たりしている。ノンフィクションの良さ。知らない誰かの現実で起きた出来事から幸せをお裾分けしてもらえる。このとき、現実で起きているという事実が少なからず、この幸せを助長する。フィクションの良さ。フィクションを読んでいる間は、非現実が現実である。フィクションを読んでいる間は、天使もいるし、知能も非現実的に成長するし、現実では出会うはずのない人たちの運命が偶然交差することもある。つまり、これを読んでいる間、僕は忌々しい必要以上なスケジュールで埋まったカレンダーを気にかける必要がない。
人に紹介された本を読む時間。この時間は貴重だ。距離的にも心理的にも離れている僕たちを結びつける時間。あなたを追いかけることができるのは、あなたが教えてくれた本を読んでいる、この時だけだ。この一節を読んだ時あなたはどう思ったのだろう、このセリフを聞いてあなたはどう感じたのだろう。物語を読みながら、あなたのこころのうちを読もうと試みる。こうしているときだけ、私はあなたの後にいることを許されている気がする。
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