さんそくのわらじの弱音
好きなことに愛を注ぎきれず、
恵まれた環境を楽しみきれず。
毎朝目を覚ますと、メールが50件。
帰ってPCを開くと、メールが50件。
スカウト、選考結果、イベントの案内。
メールチェックで溜まる疲労。
毎日が何かの締め切りで、
30分間隔くらいでみっちり埋まっているスケジュール。
2か月後のスケジュールが決まるなんてこともザラで、2か月後も徐々にみっちりしてきて終わりが見えない。
面接→ゼミ→選考会→授業
面接→バイト
みたいなカレンダーと睨めっこする日々。
それでも本屋には寄るから、
読みたい本ばかり溜まっていくし、
観たい映画も溜まっていく。
伝えたいことは伝えきれない。
頑張ったことを言うことだけが上手になって、その内今は何も頑張れていない。PRを言うことばかりが上達して、長所が生活に潰されていく感じがする。
バイト、大学、就活。
バイトをサボれば今の生活が危うい。
大学をサボれば修了できない。
就活をサボれば後の自分に響いてくる。
家計のやりくりも大変だし、
疲れた体に残る家事。
掃除、洗濯、洗い物。
自炊は、楽しい。時間はかかるけど。
割り切って休んでみたら、
休んだ以上に溜まっていくタスク。
1日休めば、明日の自分の首が締まる。
2日休めば、もう遅れは取り戻せない。
周りからの期待は高く、今までなら余裕で乗り越えてきた期待を、今はかろうじてギリギリのところで乗り越えている。
バイト先では好きなことを追う仲間に囲まれ、大学では条件で職を選ぶ仲間に囲まれている。
バイト先の仲間と大学の仲間では働くことに対する物差しが全く違うように見えて、その2つの価値観の間で心は常に揺れ動いている。
就活が嫌なのではない。むしろ楽しい。タスクが多いのが嫌なのでもない。むしろ充実している。結果する自分の好きなことに愛を注ぐ余力がない現状、これが1番つらい。
誰かに、何かに注ぎたい愛だけ溜まったまま、何にも注がれずにこぼれ落ちていく。
智を働かなきゃ生き残れないし、
情に棹させて流される。
意地を通す余力もなく、
ただ人の世の住みにくさだけが感じられる。
住みにくさが高じてきても、既に部屋は狭いし、やはりどこかに越すような気力もない。
そんな窮屈なさんそくのわらじを履いている。
あと半年くらい、履き続ける。
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