第8話 野盗襲撃(2)

 俺はマジックポーチから武器を取り出し、キザっぽい口調で野盗団に向かって叫んだ。


「しょうがねェなァ、お前ら皆殺しだ」

「ハァァァア、皆殺しだァァァ? それはこっちのセリフだ。ボケ」


 ――そうだ! この機会に補助魔法を試してみるか!


「シリウス」


 シリウスは、強烈な光で目をくらませる魔法だ。よって、辺り一面を激しく照らす。

 しかし――ここで想定外の出来事が起こる!!!


「ぐわッ!?」


 ――ちょっと待て! 何で術者の俺も食らうんだ……? 普通、こういうのは敵だけに効果を及ぼすんじゃないのか……?

 まぁ、敵も『目がァァァ』と叫んでいるからヨシとしておこう。


 しかし、敵味方関係なく効果範囲内にいる全員にダメージを及ばすとは……。この魔法は使えんな……。


 ――いやよく考えると、炎や雷などの攻撃系魔法は敵味方関係なく効果範囲内にいる全員にダメージを与える。なら、補助魔法も効果範囲内にいる全員に効果を及ぼすのは当たり前のことじゃないか!


 光が収まると同時に、バンダナ野郎が叫ぶ。


「テメェとテメェの仲間も食らってんじゃねェか? テメェは何がしてェんだ?」


 カッコつけて『皆殺しだ』と言ってしまったから、俺は恥ずかしさのあまり赤面してしまう。


「もぉぉ。ユリウス様ぁ、何やってんのぉ?」

「ショ、ショータイム前の余興だ。余興ぅ」


 ユニィ、ナイスツッコみ!

 場が戻ったところで仕切り直しだ。


「さぁ、死にてェ奴からかかってこい――」

「何が余興だ。ボケ」


 野盗団は二人一組になり、俺たちと二対一の状況を作る。


 敵は数的有利だから、当然そう来るよね。

 相手の編成はというと、俺の相手はモヒカンとスキンヘッドの二人組。ジズゥの相手は獣人の二人組。ルティは鳥人の二人組。ユニィの相手はチビとデブの二人組。

 肝心のバンダナ野郎はというと、後方で待機している。


「死ねェェェ」


 とモヒカン野郎が叫びながら、俺に斬りかかってきた。


 なんだこいつの動き!? 遅い、遅すぎる! あまりにも動きが遅すぎて、ハッキリとこいつの動きが見える。

 これは……事故ったときに周りの景色がスローモーションに見えるあの感じだ。


 俺はモヒカン野郎の斬撃を『スッ』とかわし、一撃で首を切り落とす。

 これを見たスキンヘッド野郎は『やりやがったなァ、テメェェェ』と叫びながら斬りかかってきた。


 攻撃スピードは叫び声ほどの威勢がなく、モヒカン野郎と同じ遅さだ。なので、スキンヘッド野郎の斬撃もハッキリと見える。

 俺は難なく斬撃をかわし、モヒカン野郎と同様に一撃で首を切り落とした。


 ――あっ! そう言えば、ユニィとルティの強さを知らない……。まさか、やられてないよな?

 二人の方を見てみると、余裕で敵を殺していた!


 ルティはジズゥと同じで、最強クラスの召喚獣だから心配していなかったが、後方支援型のユニィが思ったより強くて安心した。

 当然だが、ジズゥも余裕で敵を殺している。


 しかし、この野盗たちはこの世界でどれくらいの強さなんだ?

 まぁ、普通に考えてザコだろう。収穫としては、この程度の相手なら難なく勝てるってことが分かったことだな。


 あとは、後方で待機しているバンダナ野郎を殺して終わりか!


「あとはお前だけだな」

「ま゙、待ってくれぇぇぇ。こ、降参だ。降参ッ」


 実力差を認識したのか、バンダナ野郎が降参してきた。


「ハァァァアッ。それが降参する立場の奴の言い方かァ? このトンチキがァァァ」


 バンダナ野郎の言葉遣いが気に入らなかったらしく、ユニィが言い方を改めさせる。


「こ、降参します。だから、命だけは助けてください」

「じゃあ誓え、もう二度と野盗みたいな行為はしないと」

「はい、もうしません」


 反省した様子で深々と頭を下げ、命乞いをしてきたので見逃すことにした。


 俺は好奇心から、なぜ野盗になったのか聞いてみた。

 素直にバンダナ野郎が野盗になった経緯いきさつを話し始める――。


 聞いた話を要約すると、このテペウ王国は王侯貴族の自分勝手な政治のせいで貧富の差が激しく、最下層の人間は今日食べる物もないくらい貧しいらしい。

 それで、生きるために仕方なく野盗になったそうだ。


 この手の話は現実世界でも良くある話だが、聞く限り相当ひどいことになっているようだ。まぁ、王都に行けば分かるだろう。


 ルティに炎魔法で死体を跡形もなく燃やさせ、バンダナ野郎に『これからは真面目に働けよ』と言い残し、俺たちは王都へ向け出発した――!

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