第4章99話:盗賊2

俺は答えた。


「お前たちにくれてやるカネはない」


「あ?」


縄張なわばりに勝手に足を踏み入れたことは、謝罪しておこう。では、これで失礼する」


と俺はきびすを返し、洞窟へと向かおうとした。


するとバンダナの男盗賊おとことうぞくが近づいてくる。


「逃げようとしてんじゃねえ!!」


バンダナの男盗賊が斧を取り出して、背後から斬りかかってくる。


俺はすぐさま振り返り、振り下ろされる斧を素手で止めた。


「!?」


バンダナの男盗賊が目を見開く。


俺が目を細めて、告げた。


「見逃してやろうというのがわからんのか?」


そして、吐き捨てるように言った。


「俺の慈悲を理解せぬ愚物ぐぶつが。死ね」


次の瞬間、俺は拳を突き出した。


男盗賊の腹に、俺の拳が突き刺さる。


「ぐふっ!!?」


男盗賊が腹を押さえながら倒れた。


すると、チャラい男盗賊が哄笑こうしょうした。


「ヒャハハハ!! オレたちに手を出しちまったな? お前終わったぜ?」


そう告げてチャラい盗賊が剣を取り出した。


ファルシオンのような形をした剣だ。


その剣で斬りかかってくる。


「死ねやァ!」


チャラい男盗賊の斬撃。


俺はその斬撃を回避しつつ、ファルシオンを蹴り飛ばした。


「!?」


ファルシオンが吹っ飛ぶ。


同時に、俺はチャラい男盗賊の首を掴んだ。


「うぐっ!?」


「手を出した? 戯言ざれごとをほざくな。先に手を出してきたのはお前たちのほうだろう?」


俺は握力を強めて、男盗賊の首をぎりぎりと締め上げる。


「が、……ぐっ、……あがっ……!」


男盗賊が苦悶くもんの声を漏らす。


俺は男盗賊の首の中にサイコキネシスを浸透させて、頚骨けいこつを粉砕した。


首から手を離す。


事切こときれた男盗賊が、ずさりと地面に倒れて転がる。


「つ、強えぞコイツ!?」


とスキンヘッドの男盗賊がおびえた声を上げた。


すると小太こぶとりの男盗賊が言った。


「問題ねえッ! 女を人質に取れば終わりだァーッ!」


彼はノルドゥーラの後ろに回りこんで、その首に剣を突きつけた。


するとノルドゥーラが冷たい声でつぶやいた。


無礼者ぶれいものが」


「!?」


ノルドゥーラが後ろに向かって回転蹴かいてんげりを放つ。


その回し蹴りが水平に、小太りの男の横腹よこばらに直撃した。


「ぐばぶっ!!?」


彼は横向きに吹っ飛んで樹木に激突した。


悲鳴を上げる間もなく絶命したのが、傍目はためにもわかった。


「つ、強すぎる……ッ!! こんなやつらに勝てっこねえ!」


とスキンヘッドの男盗賊は戦意を失って、逃げ始めた。




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お知らせ:

作者は、本作以外にも追放ファンタジーの作品を連載しております。

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