第4章88話:パワーアップのアイテム

俺は言った。


「ところで、ノルドゥーラ。今の話を聞いてわかったと思うが、俺は神殿国でひと暴れした。今後、周辺諸国から俺に対して手強てごわ刺客しかくが放たれることだろう」


精霊の死去は、周辺諸国に大きな衝撃をもたらす。


俺が精霊を殺したということは、おそらく信じてもらえないだろうが、『精霊の死に関与している』ぐらいのことは思われるだろう。


そうすれば刺客が放たれ、俺を討伐――――もしくは捕獲しようという者が続出するに違いない。


もちろん、俺は全てをサイコキネシスによって蹴散らすつもりだが……


「ゆえに、俺の仲間であるお前にも、強くなってもらいたい」


「我に、強くなれと?」


「そうだ」


ノルドゥーラにも戦う機会が訪れるかもしれない。


そのときに、俺がいなくても無双できるぐらい強くなってもらいたい。


「戦って、経験値を積めとでも言うつもりか? 気が遠くなるほどの虐殺をしなければ、我に進化など起こらぬぞ?」


ノルドゥーラは刃竜。


そういう強大なモンスターほど、レベルが上がりにくい。


最初からステータスが飛びぬけているかわりに、成長も遅くなっているのだ。


「わかっている。ゆえに、特殊な強化きょうか方法ほうほうを実施する」


「どういう方法じゃ?」


竜玉りゅうぎょくを集めるのだ」


「竜玉……」


竜玉とは、竜の力をパワーアップさせるアイテムだ。


99個まで使用することができる。


1個使うごとに、能力が解放されていく。


なので、たくさん竜玉を集めてノルドゥーラに使用すれば、その力を飛躍的に強化することができるのだ。


「俺もレアアイテムやレアスキルを集めるために、大陸の各地を巡ってきた。今後もそうするつもりだ。その旅の過程で、竜玉を集め、お前の強化もおこなおうと思う。この旅には、お前にも同行してもらう」


「ふむ。我に異論はない。強さはいくらあっても困ることはないからのう」


とノルドゥーラは乗り気な反応を示した。


「……じゃが、その竜玉とやらが何処いづこに存在するのか、把握しておるのか?」


「まあ、ある程度はな。わかってるところから、回収しにいこう」


俺には膨大なゲーム知識がある。


さすがに全部の竜玉の場所を把握しているわけではないが、ある程度はわかっている。


それらを集めて回るだけで、ノルドゥーラを飛躍的に進化させられるはずだ。


「了解した。まずはどこへいくのじゃ?」


「そうだな……フラウード公国にいくのがいいな」


フラウード公国には、俺が把握しているだけでも竜玉が2つ存在する。


入手も難しくないので、最初に行きたいところであった。


「わかった。我の背中に乗っていくか?」


「む……飛んで移動するということか?」


「そうじゃ」


歩いていくつもりだったのだが……ふむ。


竜の背中に乗って移動も悪くない。


刺激的な体験になりそうである。


「せっかくだし、乗せてもらおう」


「うむ。では、乗るがいい」


「いや……出発は明日にしよう。今日は疲れた」


いろいろあったからな。


さすがに俺も疲労している。


ゆえに今日は、フィオリト岩原で休息を取ることにするのだった。


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