第3章82話:本気のネア2
俺は告げた。
「お前の魔法など、もはや脅威ではない」
「くっ!!」
ネアが歯ぎしりする。
彼女は劣勢を振り払うように、長槍を大きく振りかぶる。
「舐めるなぁッ!!」
まるで叩きつけてくるかのような斬撃。
その攻撃は、さきほどまでのキレはない。
力任せであり……彼女の現在の精神状態を反映しているかのようだ。
「ふっ!!」
俺は剣を振るう。
ネアの斬撃に、こちらの斬撃をあわせる。
二人の斬撃が接触する。
両者の斬撃が激突する衝撃はすさまじく。
ズガァンッ!! と、およそ
破壊的な攻撃の衝突。
それを制したのは無論、サイコキネシスをまとったミスリルソードだ。
「なっ!!?」
ネアの槍が、ミスリルソードに押し負ける。
跳ね返されて、たたらを踏み、尻餅をつくネア。
どちらが優勢で、どちらが劣勢なのか、ハッキリとわかるような
さすがにネアも、ショックを受けている様子である。
「己の実力を過信し、うぬぼれていたのは、お前のほうだったようだな」
俺は言った。
さらに続ける。
「俺に対して『己を強者だと信じる道化』だと言っていたが、鏡を見て話していたのか? この程度で強者とは、笑わせる」
不敵な笑みを浮かべながら、俺はネアを
座り込んだネアはうつむき――――
そして笑い始めた。
「ふ、ふふふふふ」
どこか暗く、されど吹っ切れたような、嫌な笑い方をするネア。
「もう、いい」
とネアが告げる。
「あなたを相手に、なりふり構っていられないのはよくわかった。だから、もういい。私はもう
ゆっくりと立ち上がるネア。
バックステップで俺から15メートルほどの距離を取る。
そして、スッ、と大地から足を離す。
ネアが少しずつ宙に浮き始めた。
1メートル、
2メートル、
3メートルと高度を上げていく。
見上げる高さまでネアが上昇すると、そこで制止し、
槍を天へと掲げた。
その槍の穂先を中心として、ネアを包み込むように、
その光のオーラと、ネア自身に、どんどん魔力が集中していく。
かつてないほどの膨大な魔力だ。
あまりに濃密で強大すぎる魔力のうねりに、大気が
神殿騎士団の兵士たちも
(これは……よくないな)
と俺は心の中でつぶやいた。
ネアのもとへ
あれほどの魔力を解き放ったとき、いったいどうなるか……?
おそらく地形が変わるほどの大爆発が起きるだろう。
本来、地上を管理する側の精霊が、そこまで暴れるのは好ましくないはずだ。
しかし俺を殺すという目標のために、手段を選ばなくなったのだろう。
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