第3章80話:反撃

ネアの掌底。


それを俺は、回避し――――


カウンターの拳を、ネアの腹へと叩き込んだ。


「がはッ!!?」


ネアが3メートルほど吹っ飛ぶ。


なんとかネアは転倒することなく踏みとどまるも、苦悶くもんの表情を浮かべて片膝かたひざをついた。


俺は不敵に笑った。


「クク……どうした? 膝をついているようだが」


「くっ!」


ネアが俺を睨みつけてくる。


その表情には、初めてまともに打撃を受けた衝撃が浮かんでいる。


しかし、そのショックを振り払うように、すぐさま立ち上がったネアは。


「舐めるな!!」


そう毅然きぜんと言い放ちながら、俺に接近してきた。


拳を放ってくる。


俺は避けた。


さらにネアが連撃を繰り出す。


拳、


蹴り、


蹴り、


拳。


さらに飛びながらの回転蹴かいてんげり。


威力もキレもすさまじい連続攻撃れんぞくこうげきだ。


だが、それらの攻撃を、俺はなんなく受ける。


そして。


「ハァッ!!」


ネアが俺の顔面に向かって放ってきた右拳みぎこぶし


それを俺は軽く後ろに引きながら回避し、直後、反撃の蹴りをネアの脇腹わきばらへと叩き込んだ。


「あがっ!!?」


ネアが顔をしかめる。


俺は追撃を浴びせることにした。


まず頬を殴りつける。


「ぐっ!?」


次に腹。


「あぐっ!?」


そしてアッパーカットであごを殴り上げた。


「が、あっ!!?」


ネアが後退し、よろめき、今度は両膝りょうひざをつく。


俺は、くくく、と笑いながら告げた。


「ぬるいな」


そしてネアの顔面を蹴り飛ばす。


「うぶっ!?」


ネアが吹っ飛びながら、地面を転がった。


俺は高笑いをする。


「ふはははははは!! 信者どもが見ている前で、ずいぶんと無様ぶざまだな! それでも誇りある神殿国の精霊か!?」


「お前……!」


ネアが起き上がる。


俺を刺すような目でにらみつけてくるネア。


口元から血が流れている。


そんなネアに、俺は言った。


「そういえば、まだ本気ではないと言っていたな?」


さらに俺は続ける。


「ならば、さっさと全力を出すがいい。……まあ、お前のような雑魚が本気を出したところで、たかが知れていると思うがな?」


「――――――」


ネアの表情が怒りに染まり、わなわなと震えだす。




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