第3章72話:戦闘開始

剣や槍を構えながら突っ込んでくる兵士たち。


俺はサイコキネシスを練り上げる。


念力格闘術を開始する。


「死ね! アンリィィィイイッ!!」


斬りかかってきた男性兵士。


俺はその鼻面はなづらに素早く拳を叩き込む。


「へぶぼあっ!!?」


打たれたことで、ひっくり返った男性兵士。


顔面から脳天まで陥没かんぼつし、即死する。


次に斬りかかってきたのは槍使やりつかいの女兵士おんなへいしだ。


突きを放ってきたので、俺はそれを避けて首を蹴りと叩き込む。


頚骨けいこつをへし折って絶命させる。


さらに。


「あがっ!!?」


俺が前蹴りを叩き込んで男性兵士を吹っ飛ばした。


男性兵士が後方こうほうにいた兵士にぶつかって、もつれながら転倒する。


さらに近くにいた女性兵士の顔面に、俺はジャンプしてまわりを叩き込み、吹っ飛ばす。


その女性兵士も、後方にいた兵士を巻き込んで倒れた。


「ははは、弱いな。しょせんは烏合うごうしゅうか!」


と俺はあざ笑った。


すると。


「調子に乗るなよ、勇者殺し」


そう告げて女騎士おんなきしが斬りかかってきた。


両手に大剣を持って、上段じょうだんの斬撃を放ってくる。


ただの斬撃ではない。


紫色の光をまとっていた。


濃厚な魔力のオーラをまとった剣撃けんげきだ。


だが。


俺はそれを、素手で受け止めた。


「なっ!?」


と女騎士が驚愕する。


「わ、私の魔法剣まほうけんを、素手で受け止めただと……!?」


このレベルの魔法剣を素手で受け止めることは、通常なら難しいことだ。


しかしサイコキネシスを使えば造作ぞうさも無い。


俺は嘲笑ちょうしょうしたように告げる。


「ふン。バカな精霊に仕えているから、剣のキレまで鈍るのだ」


「な!? 貴様……ネア様を侮辱するのか!」


と女騎士が憤慨ふんがいした。


そのときだった。


(む……!?)


背中から迫りくる者がいた。


男性騎士である。


彼は剣を持たず、手のひらに魔力を込める。


炎を右手に集中させる。


その炎を俺に向かって叩き込んできた。


ズバァンッ!! と炎が爆発する。


ちなみに女性騎士のほうは、炎に巻き込まれまいと、バックステップで退避していた。


おろものめ。背中がガラ空きだ」


と男性騎士が告げる。


炎と爆煙ばくえんがたなびく中、俺は笑う。


「くく……っ」


「!?」


男性騎士が息を飲む声が聞こえてきた。


「愚か者はお前のほうだ。俺にナマクラな魔法は通用しない」


炎が晴れてくる。


俺は当然、無傷のままの状態だ。


どんな炎であっても、サイコキネシスの防護ぼうごを貫通してダメージを与えることなど、できやしない。


男性騎士が飛びのいた。


「こいつ……強いぞ」


と男性騎士はつぶやく。


それに同調するように、


「アンリの魔力量は大したことないはず……なのに、まともに攻撃が通らない」


と女性騎士が、冷や汗を浮かべながら言った。

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