第3章42話:戦闘

俺は防護膜として、サイコキネシスを肌にはりつかせるようにまとっている。


これで兵士たちの攻撃はまったく怖くない。


仮に兵士たちの攻撃をモロに食らってもダメージを負うことはないからだ。


(まあ、だからといって、食らってやる道理もないがな)


回避の練習もかねて、避けながら戦おう。


俺は拳を振るい続ける。


倒す。


殴り殺す。


蹴り殺す。


ひたすら打撃という名のサイコキネシスで、兵士たちを蹂躙していく。


「くっ……!」


「なんて強さだ……!」


「バケモノか!」


と兵士たちが恐れおののく。


彼らを殴り飛ばしながら、俺は自身の成長を実感していた。


(以前より、自分の動きが軽くなってるな)


おそらく魔族を倒しまくったからだろう。


特にローゴスを倒したことで、レベルが一気にあがった感がある。


おれ自身じしんのレベルが上がるのは、とても良い。サイコキネシスばかりに頼るのではなく、総合的に強くなるのが理想だからな)


と俺は思いながら、兵士たちを殺していく。


この兵士どもを殺し尽くしたら、また一段とレベルが上がるだろう。


ありがたく経験値を獲得させてもらおう。


「調子に乗るなよ」


と、そのとき。


横合いから、怒気どきを含んだ低い声がした。


騎士団長である。


「死ね―――邪悪な貴族が」


騎士団長が剣を横薙よこなぎにふるってくる。


さすがに速い。


俺はバックステップで回避する。


が、避けられたことに騎士団長は動揺せず、さらに追撃を仕掛けてきた。


二撃。


三撃。


剣をふるってくる騎士団長。


「!!」


そのとき。


左右から魔法使いたちによる魔法攻撃が炸裂した。


右は炎の魔法弾。


左は水の魔法弾だ。


「ハアアアァァアッ!!」


正面からは騎士団長が迫っている。


ちっ……厄介だな。


右からも、左からも、正面からも攻撃が迫っていては、こちらも少し混乱する。


とりあえず魔法弾に関しては直撃しても構わない。


騎士団長の攻撃を防ぐか。


そう思ったとき。


「テヤアアアアアッ!!」


「!?」


背後からも攻撃を仕掛けてくる者がいた。


若い女の戦士だ。


巨大なハンマーを横向きに振りかぶっている。


(ちっ……)


俺は内心、舌打ちをした。


正面からは騎士団長。


右からは炎魔法弾。


左からは水魔法弾。


背後からはハンマー戦士。


四方向からの同時攻撃。


(全方位に防御をするのは厳しい)


ゆえに、騎士団長をぶっ飛ばして、そのまま前方へ進もう。


そう考えた俺は騎士団長へとタックルをかまそうとする。


だが。


「甘いぞ!」


と騎士団長が、なんといきなりバックステップで距離を取る。


こちらの考えが読まれた……?


俺は騎士団長の剣の間合いに入ってしまう。

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