第2章34話:歓喜

村長が驚愕の言葉をこぼす。


「こ、これは……ロ、ローゴス様!!?」


「ローゴスの顔を知っているのか? ならば話が早い」


と俺は言ってから、村人たちの前に、ローゴスの生首を放り投げた。


「ローゴスの死んだ証拠だ。自分たちの目で確認するんだな」


村人たちが生首を取り囲むように移動して、観察する。


ローゴスの生首であることを確認した村人たちがざわめく。


「本物だ」


「ローゴス様よ。間違いないわ」


「ええ!? 本当に死んだのか?」


「じゃあ……砦は落とされた?」


「私たち、魔族から解放されたってこと?」


などなど。


口々に言いあっている。


そして。


数秒後。



「「「「―――――――――――ッ!!!!」」」」



歓喜が爆発した。


村人たちが喜びに狂乱きょうらんする。


「うおおおおおおおおおおお!!」


「魔族が、魔族が死んだ!!」


「わああああああああああああっ!!!」


「あたしたち、解放されたのよ!!」


「ローゴスが死んだんだ!」


「うわあああ、マジか! こんな日がくるなんて!!」


小躍こおどりしたり、両手をあげて喜びをあらわにする村人たち。


村長は困惑していた。


村長がつぶやく。


「まさか……本当に、魔族どもが……全滅した……?」


俺は告げた。


「ウソだと思うなら、砦を見にいってみればいい。派手に倒壊してることが確認できるはずだ」


まあ、壊したのは俺ではなく、ローゴスが魔法をぶっ放して壊れただけだがな。


しかし砦が倒壊したという事実は、魔族が死んだということを、視覚的しかくてきに実感しやすいだろう。


だから余計なことを言うのはやめておいた。


村長は言う。


「さ、さっそく確認しにゆくぞ! だ、誰か、いきたいものはおるか!」


「俺がいく!」


「あたしもいくわ!」


かくして村人10名ほどで、砦のほうに向かい……


数時間後。


砦がたしかに倒壊しており、魔族たちもたくさん死んでいることが、確認された。


ヒコ村の者たちは歓喜に包まれ……


その夜。


急遽きゅうきょ祝宴しゅくえんが開かれることになった。

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