第2章26話:砦2

―――砦の内部。


門を抜けたすぐ、正面に石畳いしだたみの道があった。


その道の先には、砦の中心部ちゅうしんぶたる居城きょじょうが存在する。


そして道の周囲にはたくさんの魔族が、武器を持ってこちらを見ていた。


全員、敵意てきいをあらわにしている。


「敵だ!」


「人間か?」


「一人のようだな」


「愚かな。我らの砦にってくるとは」


命知いのちしらずめ」


「とっつかまえて、きにしよう!」


などと口々に言いあっている。


おおよそ大別して、ワニ、タヌキ、ウサギ、サイなどの容姿を持つ魔族たち。


俺は宣言する。


「今からローゴス砦にいる魔族を、殲滅せんめつする!」


さらに俺は告げた。


「かかってこい、雑魚ども」


次の瞬間。




「「「――――――――――ッ!!!」」」




魔族たちが、一斉に声を上げて。


俺に突っ込んできた。


一番乗いちばんのりで攻撃を仕掛けてきたのが、タヌキの魔族だ。


ハルバートを持っている。


「ギャハーーーーーッ!! 全然魔力を感じねえ! ぜってえ弱えだろオメー!」


生き生きとさけびながら、タヌキ魔族が俺にハルバートの刺突しとつを放ってくる。


俺は。


「フッ!」


と呼気をあげつつ、ハルバートの刺突しとつに、掌底しょうていをぶちあてた。


すると。


ハルバートが中ほどからへし折れる。


「なっ!!?」


まさか折られると思っていなかったのか、タヌキの魔族が驚愕する。


そこにすかさず、俺が蹴りを放った。


「ぐええっ!!?」


タヌキの魔族が20メートル以上も吹っ飛んだ。


もちろん、一連の攻撃はすべて【念力格闘術】による演出である。


実際はすべて、サイコキネシスで武器破壊ぶきはかいをしたり、吹っ飛ばしたりしているだけだ。


「オラアァァッ!!」


今度は、だいこんぼうを持ったサイの魔族による攻撃。


俺はそれを素手で受け止める。


サイの魔族は驚嘆する。


「なんだと!? こいつ、俺の攻撃を素手で!?」


「弱い」


と俺はつぶやき、サイの魔族の額に拳を叩き込んだ。


脳天のうてんが粉砕してサイの魔族が倒れる。


その後。


俺は迫りくる魔族たちを、念力格闘術で叩きのめす。


倒す。


倒す。


倒しまくっていく。


「つ、強い……!?」


「俺たちが束になっても相手にならねえ!」


「何者なのよ、この人間!?」


魔族たちが冷や汗を浮かべ始めた。



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