第2章25話:砦

俺は村から森へと入る。


薄暗い森だ。


やがて森を進むと、坂道にさしかかる。


ここからは山である。


坂道になっただけで、森林地帯しんりんちたいが続いている。


しばらく登る。


登る。


登る。


1時間ほど歩いて――――


俺は、目的地へたどりついた。


ローゴスとりでである。


「……」


樹木のかげから、ローゴス砦を眺める。


外壁がいへきに囲まれた砦だ。


砦の正門せいもんを、魔族の衛兵2人が守っている。


中には、魔族が多数たすう存在していることは容易にうかがえた。


作戦は……考えてない。


正面から突っ込んで、全滅させるだけだ。


「いくか」


俺は決意を口にする。


樹木の陰から、歩き出す。


不意打ふいうちや奇襲など考えず、堂々と、砦の前を歩く。


魔族の衛兵たちがこちらに視線を向けた。


俺は衛兵たちの前で立ち止まる。


左がワニのような顔をした魔族。


右がウサギのような顔をした魔族だ。


どちらも下級魔族であろう。


「人間か? 何者だ?」


とワニの魔族が尋ねてきた。


俺は答える。


「ローゴスとりでを襲撃しにきた」


「あ?」


「お前たちを皆殺しにする」


そして。


俺は、ワニの魔族に殴りかかる。


「―――――――!?」


念力格闘術ねんりきかくとうじゅつ


拳をワニの胸にぶち当てた瞬間に、サイコキネシスでワニの内臓を破砕する。


ワニはぶっ飛びながら、血を噴きだして絶命した。


「て―――――」


ウサギの魔族が叫んだ。


敵襲てきしゅう! 敵襲!!!」


銅鑼どらをガンガンと鳴らし始める兎魔うさぎま


その音で、砦の中にいる魔族たちに、俺の襲来を知らせたのだろう。


「ふンッ!!」


「ぐがっ!?」


とりあえず念力格闘術で、兎魔を蹴り飛ばして殺す。


これで衛兵2体は討伐できた。


俺は、砦の正門に掌底しょうていをぶち当てて、正門を倒壊とうかいさせた。


悠々ゆうゆうと門をくぐり、中へと侵入する。

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