第2章18話:自己分析

<アンリ視点>


ガレイン岩山を下りたあと。


俺は草原を歩き、森を歩き……


岩壁のうえに躍り出た。


崖のうえにたたずむ。


眼下には森と、森を流れる河川が広がっている。


ここで、俺は現状を確認することにした。


いままで起きたことの振り返りと分析。


そしてサイコキネシスについて、いったん整理しておきたい。


まず……


俺の性格について。




・俺の人格は結構なレベルでアンリの影響を受けている。性格が攻撃的かつ高圧的になっている。


・ただし前世の人格の影響もあり、凶悪というほどに振り切っているわけではない。




以上のことが言える。


デレクやゴルドルと戦ったとき、俺は自分の性格が威圧的いあつてきになっていることを自覚していた。


他者を見下みくだし、あざけるのはアンリの性格だ。


しかし、ゲームほど悪役貴族あくやくきぞくに振り切っているわけではない。


それは前世の気弱きよわな性格のおかげである。


(前世の俺と、アンリになった俺とで、性格が中和ちゅうわされているんだな)


と俺は結論づける。







さて、続いて確認したいのはサイコキネシスについて。


ゲームにおいてサイコキネシスは以下のような要素を持っていた。





・魔法でもなく、スキルでもない。強いて分類するなら【異能いのう】である。


・サイコキネシスは、神にすらダメージを与えることができる究極の異能力である。


・サイコキネシスは封印無効である。魔法封印、スキル封印などを食らっても封印されない。




以上である。


サイコキネシスは物体操作が基本だが、物を浮遊させたり、空間を圧縮させたりもできる。


自分を宙に浮かすこともできる。


かなり万能だ。


そして言うまでもなく、強い。


サイコキネシスは神や精霊すらも殺しうる無敵の能力だ。


強靭きょうじんな戦闘力を持つ勇者だろうが、鉄壁てっぺき聖域せいいきを展開できる聖女だろうが……関係ない。


全てを破壊し、全てを殺すことが出来る――――


それがサイコキネシスだ。


(あと……)


サイコキネシスには、もう一つ、便利な能力がある。


それは【記憶創造きおくそうぞう】と呼ばれるもの。


記憶の中から、好きなものを創造することができるクラフト能力だ。


魔石ませきを消費することで【記憶創造】をおこなうことができる。


たとえば前世にしか存在しない物品――――コーヒーを作ってみよう。


俺はアイテムバッグから魔石を取り出した。


それらを消費し、サイコキネシスによって……


コーヒーパウダーを創造クリエイトする。


さらに充電じゅうでんみの電気でんきポットと、ティーカップを生成。


「よし……できた」


電気ポットで水をかす。


コーヒーパウダーをいれたティーカップにお湯を注ぐ。


これでコーヒーの完成だ。


「うん……いい感じだ」


飲んでみると、コーヒーの深い旨味うまみ苦味にがみが、舌を楽しませてくれた。


サイコキネシスそのものもチートだが……


このクラフト能力も、驚くべきチートである。


まあ、なんでも作れるわけではなく、記憶にあるものに限るのだが……


魔石を消費するだけで、前世のモノを創造できるのは大きい。


今後の生活が豊かになるだろう。





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