第095話 私の初戦闘
2日前よりも水が多い地下貯水路を歩いて進む。
星鎧を維持するのは少し大変。
でも足首ほどの水も、この空気中の…澱み?も気にならない。
この星座の力って本当に凄い。
今回は先に2日前のあの場所までの最短ルートを調べてきた。
どの方向に何回曲がるか覚えてきたのでその通りに進む。
数十分ほど歩き続けると、広い空間に出た。
奥の方に船の後ろのようなものも見える。
……角度的に船の頭が地面に埋まって、後ろだけが地上に出てる感じ。
まぁ、真聡の考え通りならあれは普通の船ではないらしいけど。
そんな事を考えながら、さらに気を引き締めて広い空間を進む。
少し進むと予想通り、声が聞こえてきた。
「何、また来たの?……というか何で毎回タイミングが悪い訳?せっかくこの前使った分だけの澱みが溜まったのに…………というか生きてたんだ」
声がするのは船尾の上、2体の堕ち星がいる。
さっきは見えなかったけど…。
真聡は堕ち星の方を見ながら言葉を返す。
「あぁ。残念ながらな」
「の割には……2人だね。しかも誰、それ。もしかしてこの前の人達は山羊座以外全員死んだ?」
「お前のせいで……な」
「そ。じゃあ、君たち2人もすぐに向こうへ送ってあげないとね!エリダヌス座!」
そう言いながらへび座の堕ち星は右手を掲げる。
すると船尾の辺りから水が波のように襲ってくる。
あれがエリダヌス座のプレート……
というか凄く嬉しそう。腹立つ。
まぁ、みんな全然元気に生きてるんだけどね。
いや、そんな場合じゃない。
もう私の初戦闘は始まってる。
今回は初めから全力みたい。
私はその波を避けて、船尾の方へ向かう。
まず私はへび座とうみへび座、みずへび座の相手をする。
真聡は凄く気が進まなさそうだった。
でも相性とか色々な話を聞いて、私がやるべきだと思った。
……でもやっぱり怖いから早く目的を達成しよう。
一方、真聡はリードギアでわし座を使って、空へと逃げた。
そのままからす座との戦闘が始まった。
それとほぼ同時に私に向かって2匹の蛇の概念体が襲ってくる。
私はそれを少し速度を上げて避ける。
私を選んでくれた星座は魚座。
つまり魚。
陸上より水辺や水中の方が早く動けるのが魚座の特殊能力らしい。
エリダヌス座の水だとさらに相性が良いらしい。
2匹の蛇を避けて船尾の上にいるへび座が見上げれる場所まで来た。
船尾の上に登ればいいかもしれないけど「澱みが濃すぎるので近づき過ぎるな」と真聡に言われている。
実際にこれ以上近寄ると、気分が悪くなりそう。
そのため私はある程度の距離を保って銃を右手に生成して、へび座に向かって撃つ。
銃口から飛び出すのは銃弾、ではなく水。なので水弾って感じ。
しかし、へび座はその水弾を避けて下に降りてくる。
「なるほどね。君は魚座か。実験として実体化させてたのが倒されたのは知ってたよ。でもまさかすぐに人を選んだなんてね」
「だったら何」
「確かにそうだね。だったら何って話だ。どうせ今から君もここで死ぬ。牡羊座を始めとした他のやつと同じようにね!」
へび座がそう言い切るとまた2体の蛇が襲ってくる。
私は船尾から離れる形でまた避ける。
私は囮。でも役割は戦うことじゃない。隙を作ること。
そう思いながらへび座に向けてもう一度引き金を引く。
へび座は水弾を避けてまた蛇を私を襲わせる。
私はそれを避ける。
蛇は私の速さに追いつけないので避けやすくて助かる。
魚座の能力は完全に水中ではなくても、足だけ水に浸かっている場所や雨の時でも少しは発動するらしい。
そこからしばらく撃って、蛇から逃げて、また撃っての繰り返し。
なかなか隙が出来ない。
そう思ったとき。
「すばしっこいなぁ!!」とへび座が大声を出した。
そして、右手を掲げる。
すると足元の水が、右手の上に集まっていく。
そして周りの澱みを吸い上げながらその水の球は大きくなっていく。
流石にあれに当たると駄目なのはわかる。
でもあの大きさは避けても無駄な気がする。
それでも何とかできないかと考えながら距離を取る。
無駄とわかってても「危険を感じたら逃げろ」と真聡に言われてるから。
しかし、解決策が浮かばないまま時間が来てしまった。
「さて、じゃあさよならだ」
水球の1点が膨らむ。
そして大量の水が私に向かって放たれる
直前、一つの影がへび座の右手を横切った。
それと同時に水は力を無くしたかのように下へ落ちる。
水に濡れながらもへび座は怒りの声を上げる。
「やってくれたね………山羊座!!!」
「ずっと狙ってたからな。悪いがエリダヌス座は貰うぞ」
地面に着地した真聡の手にはエリダヌス座のプレートが握られていた。
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