第066話 連絡

 「え…………ゆー君!!!???」

「その声…もしかして由衣?」

「うん…私。…………ねぇどういうこと?」


 そう言いながら私はギアからプレートを抜き取って元の姿に戻る。


「本当に由衣か…」

「うん。さっきはありがと」

「あぁ。…じゃあもしかして今、俺に杖を構えてるのは…真聡か?」


 そう聞かれるとまー君はため息をついた。

 …まだ星鎧をつけてるから本当にため息かわからないけど。


「よくわかったな。」

「声でわかる。友達の声だから尚更な」

「…そうか。じゃあ1つ聞かせろ。小学生の頃、俺達が行った夏祭りの名前と神社の名前は?」

「毎年5人で行ってたから忘れるわけ無いだろ。星鎖神社の星鎖祭りだろ?」


 ゆー君がそう答えるとまー君は「正解だ」と言いながら元の姿に戻った。

 それに合わせてしろ君とすずちゃんも元の姿に戻った。


「…やっぱり本当に佑希か。」

「いや偽物なわけ無いだろ…」

「……お前の話は後で聞かせてもらう。由衣、先に戻っていてくれ。」


 まー君はそう言い残してどこかへ行ってしまった。

 多分…超常事件捜査班の人に連絡するのかな?

 でも「先に戻っていてくれ」って言われても…何か戻りにくい…


 そう考えていたとき、すずちゃんに「誰?この人?知り合い?」と聞かれた。

 …そういやすずちゃんとしろ君はゆー君のこと知らないよね。

 そんな訳で私達は少し移動して自己紹介をすることにした。


☆☆☆


「なるほどね。由衣と真聡の幼馴染…か」

「とりあえず…これからよろしくな!佑希!」

「こちらこそよろしく、志郎」


 さて自己紹介は終わったけど…どうしよ?

 そう思っていると「あれ?もう終わってた?」という声が聞こえた。

 声がした方を見ると…。


「「焔さん」!!」


 最近噂の鳳凰 焔がそこにいた。


「焔さん、言っておいてくださいよ。2人じゃなくて4人になってるって」

「…え、4人になってる?俺だって聞いてないぞ」

「誰かが未だにスマホ持たないから増えても連絡できないんですよ。」


 そしてどうやら電話が終わったらしいまー君も戻ってきていた。

 この感じ…怒ってる?


「焔さん。勝手にレプリギア追加で作ってもらって、無断で星座騎士増やすのやめてください。」

「まぁまぁ…仲間が増えた方が色々と助かるだろ?それに佑希はちゃんと選ばれた人間だから」

「そこじゃないです。ちゃんと言ってからやってくださいって言ってるんですよ。」

「悪い悪い」


 そう言って焔さんは笑ってる。まー君はため息をついてる。

 …でもまー君も大事なこと話さないよね?

 そう思ったけど言ったら確実に喧嘩になると思ったのでやめた。


「…とりあえず、移動するぞ。佑希の話を聞きたい。」


☆☆☆


「まさか、佑希君が星座騎士だったなんて」

「ね〜!びっくりだよね」

「智陽さんも関係者だったとはね。あと佑希でいいよ」

「私は戦わないけどね。あと智陽でいい」


 私達はまー君の家に戻ってきた。

 やっぱり星座騎士の話するならここだよね。広いし。

 …まー君は嫌そうだけど。


「で、佑希。何故選ばれた。結局星座は何だ。」

「双子座。澱みに襲われたときに左手に星座紋章が現れてな。その後、焔さんに出会って稽古をつけてもらってたんだ。」

「そうだったんだ…じゃあ、この街に戻ってきたのって…」

「もちろん戦うため。まさか真聡と由衣が仲間とは思ってなかったけどね。」

「焔さん。何で言ってくれなかったんですか。というか何で言ってないんですか」

「いやお前達が知り合いだなんて思わないだろ。それに俺も俺で忙しかったんだよ。ちゃんと星座の力は回収してきたから。そう怒るなって。」


 そう言いながら焔さんとゆー君はそれぞれプレートをテーブルの上に置いた。

 まー君はいつものように焔さんがスマホを持たないことの文句を言ってる。

 …何で持たないんだろう。便利なのに。


「はと座と…とびうお座か」

「両方とも概念体と戦ったのは俺だけどな」

「そこはまぁ…仕方ない。」


 なんかわかる人にしか分からない会話をしてる気がする。

 いや、それよりもさっきの堕ち星の方が問題じゃない?


「さっきの堕ち星…結局なんだったの?」

「というか普通に喋ってなかった?」

「つまり…あいつは強い…ってことか!?」

「それマズくない!?」

「落ち着け。…確かにあいつは普通に会話できていた。へび座やからす座のようにな。しかし、まだその2体と比べると弱かった。」


 その言葉に私としろ君は頷く。

 何回か戦ったけどからす座は強かった。

 なんというかこう…力の使い方を知ってる…的な?

 さっきは…分身の攻撃が辛かったけど…


「そう考えると…さっきのもふもふは力を使いこなして…いた?」

「能力は厄介だが、まだ甘い。」

「倒すなら今…ってことだな」

「あぁ。問題はあの能力をどうやって突破するか…。」


 私達はそれぞれ考える。

 するとすずちゃんが大事なことを口にする。


「それより、あの堕ち星は何座なの?」

「こぎつね座だ。」

「だからもふもふしてたんだ!」


 私がそう言ったら場の空気少しだけ緩んだ気がした。

ゆー君は少し笑ってるし。

 …私なんかおかしなこと言った?


「とりあえず、もう少し様子見…でいいか?真聡」

「…そうだな。次であの分身の突破手段を見つけたい。できるなら倒してしまいたいが。」

「じゃあ、悪いけど今日は帰るわ。」

「ゆー君帰っちゃうの!?」

「あぁ。今日は俺が買い物当番だから買い物して帰る必要があるんだ」

「大変そうだね……何か手伝える?」

「いや、いいよ。ありがとう。」

「…堕ち星に遭遇したら連絡しろよ。」

「…あぁ。」


 そう言ってゆーくんは帰っていった。

 メッセージグループには参加したし問題ないよね。


「じゃあ私もそろそろ帰ろうかな。」

「そうだな…こんな時間だもんな」

「私も帰ろうかな」


 スマホで時間を確認するともう18時を過ぎていた。

 家遠い人はもう帰らないといけないか…

 すずちゃん、しろ君、ちーちゃんは帰る準備を始める。

 じゃあ私も帰ろうかな。お母さん晩ごはん作ってるし。たまには手伝わないと。

 そのとき焔さんが口を開いた。


「ところで…レヴィは?来てただろ?」

「帰りましたよとっくに。これ預かってた合鍵です。」


 そう言ってまー君はレヴィさんが置いていった合鍵を渡した。

 あれ、焔さんのだったんだ。


 そしてまたまー君が焔さんに連絡についての文句が始まった。

 まー君はそんなに困ってるんだね…


 ちなみにこのあとまー君に晩御飯どうするか聞いてみたら断られました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る