7節 新たな出会い
第061話 まさかの再会
2学期って何で9月1日からじゃないんだろう。夏休みなんだから夏終わるまでの8月は全部休みでいいじゃん。
…9月入っても暑いけどさ。
そんな訴えをまー君にしながら私達は始業式のために約1ヶ月ぶりの学校に入る。
…でも夏休み前半は補習で学校に来てたから1ヶ月ぶりではないかも。
そんな事を考えながら靴を履き替えるていると、まー君に置いていかれそうになった。
私は少しは走って追いかける。
そしてこっちは本当に1ヶ月ぶりの教室に入る。
「あ、由衣ちゃんおはよ〜!」
「麻優ちゃんおはよ〜!」
他にも友達が声をかけてくれるので私は挨拶を返しながら、自分の席に鞄を置きに行く。
そしてまー君の席に向かう。
まー君は前の席の椅子を借りて座っているちーちゃんと話していた。
「ちーちゃんおはよ!」
「おはよ」
「…1つ席が増えてないか?」
「確かに…後ろの扉の前に席が増えた?1学期にはなかったよね?」
「多分転校生がいるんでしょ。まぁ転校していった生徒の方が多いと思うけど」
「それは…どういうこと?」
「何人か転校したって噂になってる」
「名前は。」
「確か…杉下…松井…小野…あとは…」
「それって!」
「声が大きい。…はえ座の堕ち星のときの関係者だな。」
小野君は以前、はえ座の堕ち星となり松井君を始めとする自分を虐めていた人達に復讐しようとしていた。杉下君もその復讐相手だった。
あと私が初めて星座騎士として戦った相手。
「転校…したんだ…」
「被害者が転校するのはよくあるが、まさか加害者まで転校させるなんてな。」
「加害者は警告を出しただけらしいよ。だからそっちも自主転校みたいな感じらしい」
「…どこで聞いてきたの?」
「聞こえてきた話」
ちーちゃん…すご…
そう思っていると、タムセンが「席につけ〜」と言いながら教室に入ってきた。
私達はそれぞれ自分の席に戻る。
「よし、じゃあ始業式の前に2学期最初の朝礼を始めるぞ〜」
クラスからは「始業式なんだからすることないでしょ〜」的な空気…というか声が飛ぶ。
タムセンは「まぁまぁ、話は最後まで聞け」とみんなに言う。
その何かありそうな言い方に私はさっきのちーちゃんとの会話を思い出した。
もしかして本当に転校生がいるの…?
私のその考えは当たった。
「よし、じゃあ紹介するぞ。転校生だ。入ってきてくれ」
タムセンが呼ぶと教室の前の扉が開く。
入ってきたのは男子生徒。
…どこかで…見覚えが…あるような?
その男子生徒は教卓まで来て、タムセンからチョークを受け取る。そして自分の名前を黒板に書き始める。
『
その名前を見た瞬間、私は立ち上がって叫んでしまった。
転校生の自己紹介を遮って。
「ゆー君!!??」
「…由衣!?」
クラスにいる全員の視線が私に注がれたのは言うまでもない。
でもそれを気にしないぐらいの驚きの再会だった。
☆☆☆
放課後、私は鞄を持ってひーちゃんの教室に向かう。
先にメッセージで「放課後に話がしたいから時間をください!」とは送っている。
だからそこまで急ぐ必要はないんだけど…
でも、やっぱりせっかく幼馴染が帰ってきたんだから早く知らせたい。
早く伝えたいならメッセージで言えばいいんだけど…ひーちゃんとゆー君にも驚きの再会をして欲しかった。
だからゆー君には「会って欲しい人がいる」としかまだ伝えていない。
ゆー君は誰かと違ってあの頃と変わってなかったから、私の提案をすぐ受け入れてくれた。
いや、まー君も結局そこまで変わってないかもしれないけど…
ひーちゃんの教室にたどり着いた私はひーちゃんの名前を呼びながらドアを開ける。
すると、ひーちゃんは自分の席から立ち上がって私のところに来てくれた。
「手を振るだけでわかるから」
「あはは…ごめん…」
「で、話って?」
「屋上でするから!行こ!」
私達はそのまま屋上へ向かう。
雑談をしながら廊下を移動して階段を上る。
ちなみにひーちゃんのクラスからも転校した人がいたらしい。
屋上のドアの前に着いた私はドアを叩いてみる。
するとまー君から「もういる」と返事が来た。
「では…オープン!」
「いや何…」
「お…?もしかして…日和か?」
「まさか…佑希?」
「何だ!日和まで一緒の学校だったのか!」
「あぁ。」
「え…いつから?」
「今日!私も今朝、朝礼でタムセンの紹介で初めて知ったの!もう本当に驚いた!」
「だからと言って立ち上がって叫ぶな。俺まで周りの席のやつから質問攻めだ。」
「えへへ…」
本当に久しぶりにあのときの5人が…あれ?
私はようやく気づいた疑問を口にする。
「…さっちゃんは?」
「あ〜…佐希は戻ってきてない。」
「というか何で戻ってきたの。今年は年賀状来なかったし」
「悪い悪い。受験勉強で忙しくて書いてる暇がなかったんだ。で、父さんがこの街に転勤になったんだけけど、佐希はかなり賢い高校に合格にして転校したくないって言ったんだよな。
だから俺だけがこの街に戻ってきたんだ。」
「ゆー君は良かったの?」
「まぁ…父さんを1人にするわけもいかないからな…」
残念。さっちゃんにも会いたかったなぁ…
でも私はすぐにその残念な気持ちを減らすいい方法を思いついた。
「そうだ!電話とかできない!?」
「あぁ〜…勉強とか部活で忙しいからなぁ…無理だと思うな…今も部活の時間だろうし…」
私の提案は残念ながら却下された。
いい方法だと思ったんだけどなぁ…
「まぁ、メッセージは送っとくから…」
「うん…」
「落ち込みすぎでしょ」
「だってぇ…!」
ひーちゃんに私の気持ちを訴えているとゆー君が笑い出す。
私は「なんで笑うの!」とゆー君に聞く。
するとゆー君は落ち着いてから答えてくれた。
「いや…由衣も日和も…変わってないなって…」
「そうだな。良くも悪くも変わってない。」
「そういうお前は大変だったんだな」
「喋ったの!?」
「真聡のご両親が亡くなって、中学は遠くの寮制の学校に行ってたんだろ?……お前は何で戻ってきたんだ?」
「色々あってな。」
流石に星座騎士の話はまだしてないみたい。
それに「小学校以来に帰ってきた街に怪物が出てる」なんて話をいきなりしても…信じられないよね。
だからこの話はゆー君から澱みとか堕ち星についての話が出たときでいいよね。
とりあえず今は久しぶりの再会を喜ぶべき!
「とりあえずさ!今からどこか遊びに行かない!?せっかく4人集まったんだしさ!私、ゆー君の話聞きたい!」
「あ〜…悪い…ちょっと用事があってな…そろそろ帰らなきゃいけないんだ」
「そんな〜!!」
「私は部活がある」
「俺も用があるから帰るぞ。」
「まー君まで!?」
ひーちゃんとまー君はそう言って屋上から去っていく。
2人とも冷たくない?
「まぁ…また4人の時間が合うときにどこか行こう…な?」
「うん…」
ゆー君だけがフォローを入れてから去っていった。
結局、屋上には私だけが残された。
「も〜〜〜!!!!!何で!!!???」
私は拗ねてるのか、怒ってるのか。良く分からない感情でメッセージを送る。
こうなったらもうヤケだよ、ヤケ。
送ったメッセージはすぐに返事が来た。
私の今日の放課後の予定は決まった。
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