第3話 辛口、令和の秘密基地

 今回の創作怪談は令和の子どもたちの秘密基地についてです。あなたが子どもの頃はどんな秘密基地でしたか? 意外と、いつの時代も変わらないものでしょうね。今回は辛口創作怪談です。


 小学六年生の太郎くんは令和の子どもです。今日も友だち三人との放課後の遊びです。今日もスマホ片手に自転車で走り、とある河川敷の木々が生い茂っている場所で秘密基地を作ろうという遊びになりました。


 太郎くんたち四人は、ちょうど良さそうな場所を探しています。太郎くんだけがスマホ片手に動画を撮っていました。そして、木々が生い茂っている中のちょっとした空間を秘密基地に決めて四人は黒いビニール袋を拾って来て囲いのようにしました。


 そのちょっとした空間は子どもの遊び心をくすぐります。太郎くんはスマホ片手に動画を撮り続けています。四人は仲良く話して秘密基地を楽しんでいました。夕方になりました。誰かがこう言いました。


 今日は夜までここに居ようぜ。


 四人はワクワクドキドキになりました。初めての秘密基地の遊びに太郎くんたちは大賛成でした。時間が経って、日が落ちて行きます。でも、太郎くんは気付きました。


 いったい、誰が、今日は夜までここに居ようぜ、そう言ったのか?


 太郎くんたちは沈み行く夕日に暗くなりかける秘密基地でゾッとなります。四人は誰もそんなことは言っていないと騒ぎになりました。そして、太郎くんは撮影した動画をなぜか再生してこう言いました。


 みんな、逃げろ!


 パニックになった四人は河川敷から自転車を置き去りにして逃げようとします。でも、河川敷の坂道をいくら登っても上に着きません。四人は河川敷の坂道の原っぱで寝そべって疲れはてたのか眠ってしまいました。


 翌朝に三人は河川敷の坂道の原っぱで大人たちに発見されました。しかし、太郎くんだけが居ません。果たして、太郎くんは撮影した動画の中に何を見てどこに行ったのでしょうか?


 後日、三人は河川敷の事故について聞かされました。それは、三人の歳の近い少年が川に溺れて亡くなった話でした。太郎くんは今でも行方不明です。果たして、太郎くんはその亡くなった少年に連れて行かれたのでしょうか。




 秘密基地を題材に現代の子どもならばスマホ片手に遊ぶのだろう、そう思いながら執筆しました。くれぐれも、日が明るいうちに帰りましょう。それでは、また会いましょう。

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現代創作怪談【甘口から辛口まで】 野口マッハ剛(ごう) @nogutigo

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