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 大会議室には二十名に及ぶ管理部の人間が集められ、その多くはサクが直接言葉を交わしたことなど一度もない人たちだった。座らされた席からは、長机に向かい合う彼らの横顔が正面に見える。彼らの表情に迷いはなく、ニナの言った通り、既に自分に罪を着せる気でいることは明確だった。彼らにとっては事実を探るのではなく、意見の一致を確認するだけの会議なのだ。右手側の席にいるシズと目が合ったが、互いに表情を変えることさえなかった。

「皆さまご承知おきの通り、彼は外で過ごした二年の間に反対派との繋がりを持ち、今回の事件を起こすべく戻ってきたものと推察されます」司会役の男が周囲を見渡し、最後にサクに目をやる。「反論はありますか」

「僕は、彼らと繋がりなど持っていません。廃墟に暮らす住民として、反対派のリーダーとは一度顔を合わせただけです」

「それを証明できるものは」

「ありません。ですが、僕が彼らの仲間である証拠もないはずです」

 立ち上がり、気圧されそうになりながらもそう言ってのけた。彼らは気難しげな顔を付き合わせ、不快をあらわにする。

「あの爆発事件の際、アリバイがなかったのは貴様だけだ。爆破に関与するには十分すぎる」肥えた男は机を叩かんばかりの様子だ。まるで銃を握って走れる体型ではないなと、サクは場違いなことを思った。「それにあの男の台詞は、その場にいた警官隊の誰もが耳にしている。仲間を迎えに来たのだとな」

「彼の言うことを信じるのですか」

「奴がわざわざシェルターに侵入し、貴様に接触する理由が他にあるのか」

 おまけに、と他の一人が続きを引き取る。

「そばにあったアンドロイドは研究所で開発されたものだというじゃないか。内部で盗みを手引きした者がいるに違いない」

 それがおまえだと誰もが視線で訴えるのに、手詰まりな感触を覚える。

「僕がアンドロイドを流したとして、それを壊す理由がありません。それに彼らの仲間であれば、あの時逃げ出していたはずです。けれど僕は、行かなかった」

「怖くなっただけだろう」二日前のシズと似た台詞を一人が口にする。「人は罪の大きさを自覚すれば、裁きを求めるものだ」

 彼らはどうしても自分を犯人にしたがっている。まさに暖簾に腕押しの問答に、この会議は形だけなのだとサクは理解した。真偽を定める場といいつつ、答えは彼らの中で既に決定しているのだから、この会議はただ記録に残すためだけの茶番だ。罪の意識がどうという非論理的な言い分に、誰も異を唱えないのがその証だ。

 力が抜けて腰を落とし、彼らのやり取りを、サクは外から眺めるだけだった。勝手に自分の罪が構築されていく。一体どんな口出しをすれば、それを崩せるというのだろう。

「意義を唱えたいという方が一名おりまして」

 場を収めるように司会がニナに視線をやった。サクの隣にいた彼女は毅然とした面持ちで立ち上がると、頭を下げて自己紹介をした。

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