第21話 俺の弟だぞッ (ルーカス視点)
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魔物の森でゴブリン退治に派遣してた、第一軍とルークが悪鬼とゴブリンキングと遭遇したこと、ゴブリンキングを倒し、悪鬼を退けたのがルークであると言う話を聞いたルーカスは、動けないルークの報告書を書いていた。エータやシィーラから話を聞きルークを心配する毎日を過ごしていた。しかし、それ以上のに嬉しさも感じていた。その理由は
「ルークが悪鬼を撃退ね〜♪」
ルーカスが極度のブラコンだからである。
ルーカスのブラコンっぷりは半端でない。ルークの初等部入学式のときには上級生は全員休みの中、自分だけ出席し、保護者席の最後尾で一人静かに涙を流し、ルークに適当な理由をつけて決闘を仕掛けようとする他国の貴族をボコボコにしたりもする。
その行動が原因で戦争が起こりかけたり、ルーカスの泣き顔を撮影魔法で撮っていた貴族を脅したりもしているのだが、そのブラコンっぷりはルークにバレていない。
理由は単純でルーカスがルークに迷惑をかけないよう徹底的な情報統制を行っているのである。
ルーカスは全てではないがルークの性格をおおよそ把握している。無難に物事を片付け、誰からも期待されず、天才に挑み絶望することもない、自分のせいでルークがそのような性格になったことを理解しているルーカスは、最低限の付き合いでルークとの関係を作り上げているのである。しかし、その腐っていたルークが魔物の森に行きたいと行ってきた時、一ヶ月ぶりの模擬戦で動きが目に見えて違った時、ルーカスの心は踊った。そんなルーカスにさらにルークが活躍した話が来たのだ。喜ばないはずがなかった。そんなルーカスに不快な声が聞こえてくる。
「ルーカス様、失礼ながらルーク様にあの悪鬼を退けられるような力が備わっているとは思えません。あの場にいたのも、頭のおかしいエータ率いる第一軍の人間だったそうじゃありませんか。禁術などを使用した可能性もあるのではないでしょうか?」
今ルーカスに話しかけているのは、侯爵家のギーダ・エンビー。最近力を落としているエンビー家の長男である。今はルーカスに媚び力を取り戻そうとしているところなのだが、その一言はルーカスのもっとも踏んではならない地雷を踏んでしまっていた。
「今、俺の弟を疑った挙句弱いと言ったのか?」
「そうでなければ、アカデミーにいる今のうちから頭角をだし始めているはずではありませんか?」
ルークは武国のアカデミーに通っているが成績はあまりいいとは言えない。クロと会う前のルークは成績調整を行い仕事の量や人と関わる回数を極端に減らしていた。そもそもクロと出会ったのは、長期休業中であったためルークは兄を越えたいという明確な目標を持っていない。そんな中での学園生活を送っていたのだ。そのためアカデミーで成績が良くなかったのだが、ブラコンのルーカスならばまだしも自分の諜報部隊(練度の低い)を使ってでしかルークの様子を確認しない、侯爵などは今のルークの実力を正確に把握していない。
「エンビー侯爵殿、忠告感謝します。残っている仕事がありますので失礼」
そう言ってルーカスはギーダの次の言葉も聞かずに歩いて行く。
弟の成長を見るのが今の唯一の趣味であるルーカスは今日も上機嫌な様子が場内で度々見られるのだった。
久しぶりの投稿で内容が短くてすいません
今日からまた、少しずつ投稿頻度をあげていきたい所存
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