第17話 悪鬼vs変態とストーカーの衝突
♢
エータは現在の状況を踏まえて自分の目指す勝利を考え始める
(部下全員とルーク様そしてシィーラ様を生かしてこの森から逃すことですか……)
コニーが最初にした予測
残った総員全てとエータ、その全てで悪鬼を倒すことができるというもの
エータもその意見には同意している。しかしコニーが倒れた今、個を集団で倒すという方法は悪手であると判断する
(死傷者の数が跳ね上がる上に仲間を利用されては意味がありませんからね)
ならばとエータはまだ動くことのできる者に声をかける
「動ける者はシィーラ様が発動させている魔法陣が発動するまで負傷者を守るよう動いてください」
「「「「了解ッ」」」」
コニーが瀕死に追い込まれた直後から動くことが出来ずにいた隊員はエータが現れてから息を吹き替えした、まるでそこに絶望などなかったかのように、それが応答の力強さに現れている
(シィーラ様あなたは転移魔法が発動できるようになり次第、直ぐに発動し戦線を離脱してください)
(了解、エータ様もこのタイミングで離脱しますか?)
(……私はこの化け物と戦います。大規模魔法の発動準備をしますので、転移魔法を発動できるとシィーラ様に言われた10秒後に発動しますので、一言お願いします)
そんなやり取りの直後不意を付くように、悪鬼が仕掛けてくる
悪鬼の立ち位置からエータの首にかけての最短距離を最速で詰めてくる、その一撃は間違いなくコニーと戦っていた時の、そのどれよりも速く鋭い攻撃だった、だが
"ウィンドシールド"
「……こっちの作戦会議の終わりまでは待ってくれると思っていましたがダメですか……」
エータはそんな悪鬼の不意打ちを完璧に防御してみせた。悪鬼は予想通りとでも言わんばかりに加速して行く。一撃一撃勝負を決めるような威力で、しかしエータもその攻撃を完璧に防御する
(ルーカス様に匹敵するような強さ、正に化け物という他ありませんね……ただ、技術はなく単純な力だけでこちらに勝とうとしている。それならば駆け引き次第でこちらが勝てる)
それがエータが下した悪鬼の評価であった
♢
(動きが違う?)
悪鬼とエータが戦っているのを見てシィーラが感じた違和感、コニーと戦っていた時よりも悪鬼の動きは荒々しく力に任せたものになっていた。
(エータ様の動きに着いて行くので精一杯で動きが単調になっているだけか?それともあえて隙を見せて誘っている?例え、そうだとしてもここは戦線を離脱し、負傷者を治癒することが優先なはずだ)
シィーラは今、判断できる要素で最高の結論を下す。それでも悪鬼は自分の勝ちを疑うことをせず嘲り笑い続ける
(エータ様準備完了です。いつでも転移魔法発動できます)
(でしたら今すぐに発動してください)
(了解しました)
その直後発動する魔法陣の上に自身を転移させそのまま全員を森の外に飛ばそうとする
転移魔法を発動しようとした直前悪鬼の嘲り笑う顔がシィーラには見えた。この時シィーラは後悔した。自分の直感を信じなかったことを、何故自分の心に従わず正解を狙いに行ったのかを
直後、転移魔法の発動がキャンセルされ魔力が霧散する
それを確認した悪鬼は狙いをシィーラに定め一撃を放つがエータがそれを完璧に防御する。
「転移魔法の発動ができないのですか?」
「魔法陣に強制介入及び発動直前に霧散されるよう書き換えられています」
「これはただの不備ではないということですね?」
「…はい…」
その時
『オマエタチ……ノ………コトバコレデ……アッテルカ?』
悪鬼が話し出す
「不死者の悪鬼様はおしゃべりすることもできるのですか?そもそも言葉を覚える必要があるのですか?」
『オマエタチノコトバジタイハリカイシテル。ハナスイミヲカンジナイダケデ」
「ならなぜ突然話し始めたのですか?」
悪鬼は表情を大きく変え
『ソノオンナ、サッキノオトコノサポートシテタ、コウエイカラタオスノハジョウセキダロ』
『ソレニイマノマホウガオマエラノキボウダロ。ソレガナキャオレニカテナイトワカッテルダロ』
悪鬼は嘲り笑い人の神経を逆撫でするような声で話し続ける
(何も通用しない、強くなることもルークに近づくこともできない。挙句ルークが死にかねない現状で僕にできることはもう何もない……)
そんな中でシィーラは絶望に染まるその目からは自分の不甲斐なさを嘆く涙が流れる
『オマエオレニカテナクテナイテルノカ?タカガニンゲンガホントウニオレニカテルトオモッテタノカ?』
『タニンヲカイスルコトデシカタタカエナイオマエノツヨサナドタカガシレテイル。マンマトサソイダサレテクレテアリガトウナ、オカゲデサガステマガハブケタヨ』
「流石にこの状況では厳しいですね……」
『オンナヤホカノヤツラカラコロシテヤル。オマエハサイゴダソレマデドイテイロ』
その言葉を合図に悪鬼はシィーラをまずは殺そうと踏み込んでくる悪鬼がシィーラの首を刎ねた瞬間
「『世界は逆行し、元に戻るどれが真実かは俺だけ決めることを許される』」
シィーラの首は元に戻り、今までのどのルークとも言動が似つかないルークがそこに立っていた
「『シィーラ嬢が無力だったかどうかは俺達が決める。お前が決めることじゃないぜ、クソガキ』」
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