第12話 有能な戦闘員は性格破綻者(盲信者)でも使い潰すべし
「一般的に魔力は体内で生成され体外に放出するそう考えられています」
しかし
「私は体外にある魔力を一点に集め再び使うことができるなので私には魔力切れという概念が存在しません、この自然界にある全ての魔力が私のものなのです」
『シンプルに強力な能力だな周囲の魔力を吸収する能力か』
「因みに魔力を吸収すればするほど周囲から魔力がなくなって行くということはありません、この世界には魔力が満ちておりどの魔力もできるだけ広い空間を求め動くそれゆえに私の能力で魔力を吸収できないことはありません」
「相変わらずゲートに好かれる魔力ってのはイカれてんな」
「お褒めに預かり恐悦至極」
「褒めてるつもりはないんだが?」
「その言葉私にとっては最大限の喜びなのです」
エータが体内で魔力を練り始める
「私が極大魔法を一つの戦場で五つ放った時です、敵国の兵士は皆口を揃えて言いました、ゲートに好かれた魔力がなければあんな奴という言葉、私からすればこの魔力だって一つの体質である以上あなたが私に負けたという事実は変わらない、それの言い訳をする理由とはなんでしょうか?」
ルークは
「言い訳したくなる気持ちもわかるよ、俺は自分よりもすごい人間が才能で勝ってると思える方が気分が楽だからね、負けた時の言い訳にもなる」
エータに負けた人間に少し共感してしまった、天才に勝てない苦悩、自分では成長できない可能性だってある、それでも前を向いて歩き続けるのは苦しいだろうと
「しかしそれでは成長できないではないですか?」
「……そうだな、エータが言ったな俺が強くなってるって、俺が強くなったのは体術や魔力コントロールなんかより何より心だからな」
「…あなたの根本にあるのはルーカス様に勝ちたいという願いですか?」
「ちげぇな俺の根本にあるのは自身の願いに命をかける覚悟だ」
「それが酷く険しい道だとしてもですか?」
「例え茨の道だろうが俺は前に進む、それが俺の覚悟であり決意なんだよッ」
『ルークッ』
クロの合図と同時にルークは魔法を発動する
"炎帝の槍"
「それがあなたの理想を求め、なお走り続けるための翼ですか?」
「そして自分の目の前の道を切り開く力でもあんだよッ」
炎帝の槍をエータは正面で受けようとするが寸前で回避を選択する
(炎を槍の形に変化させているだけならいいのですが、おそらく硬度も鉄となんら変わらないレベル、まともに受ければ受けた箇所が使い物にならなくなりますね)
「並列処理」
'ウィンドブースト'
'ウィンドカッター'
エータの適正属性である風属性最速の魔法ウィンドカッターにウィンドブーストでバフをかけさらに速度を上げる
しかしルークもウィンドカッターの軌道を予測し回避する
「これを回避するのは予想外です」
ルークは無言でエータの攻撃を回避し、観察する
『せっかくの強者とのバトルだ今まで訓練で身につけたことの総復習といこう』
『相手が自分よりも強い時に勝つための方法は相手の観察と分析だ』
『相手の動きの癖、リズム、魔力の動きその全てを知った上で予知にも近い予測に達するそれが最初の1ヶ月の修行で覚えたことだ』
(洗練された魔法師であればあるほど魔力の流れがスムーズになる、体のあらゆる部位から技を仕掛けられるなら極めて厄介だが、エータの攻撃手段はあくまで手からの魔法の発動それなら発動タイミングの予想は可能)
(目線の動きから攻撃点を予測、相手が刻んでいるリズムに合わせるのではなく自分のリズムで仕掛ける)
ルークは槍を叩きつける戦い方から刺突へとパターンを変えた
(さっきよりも速度が上がっている、威力よりも私を捉えることに重きを置いていますね)
事実エータの防御を超える攻撃が増えている
エータはそう考えリズムを相手に合わせ再び受け身を取る、しかしリズムを変えたタイミングで刺突から槍を叩きつけるスタイルに攻め方を変える
(ゴブリンの討伐で掴んだ敵の予備動作を察知する方法、エータにも通じる)
『その感覚を磨き続けることでより強力な力を得ることができる、それを自覚しより深めよう』
「私の受け身のリズムを崩すとはやりますね」
「兄さんならこんなまどろっこしいことしなくても力でねじ伏せるんだろうけどね、俺は俺のやり方でお前の防御を崩すよ」
「……なるほど本当に成長しているのですね、それこそ軍に所属して欲しいものですが…」
「はっきり言うが俺は俺の道を行くって決めてんだよ、誰かに決められた道なんて絶対に進んでやるもんかよ」
「………実に面白いですね、兄弟でここまでまで違うものですか…」
「いい加減面談ばっかりじゃなく実践で教えてくれよエータ」
「…いいでしょうここからは本気で行きましょ【ブモォ】
ルークが声を聞いたと同時にエータは視界から消える
その後木に打ち付けられたエータが視界に映った
「エータ無事かッ」
エータから返事は帰ってこない、しかし今はエータの容体を気にするよりも目の前の敵に意識を向ける方がいいとルークは本能で理解した
『ゴブリンキングか?』
(気配も一切なしに突然の出現、俺もエータもあいつの気配を感じることができなかった、つまり突然の出現、こいつを転移させたやつがいるはずだ)
「シィーラッ近くにこいつを転移させてきたやつがいるはずだ、そいつを追え」
返事こそ帰ってこないがシィーラのことを信頼しこの状況の収束に神経を使い始める
(返事が帰ってこない以上エータからの加勢も期待できない、その上相手はゴブリンキング
ランクAの魔物なんだ今の自分全部をぶつけるしかない)
『あの変態の容体も気になるが、あいつなら死にはしないはずだ、今意識するべきなのは目の前のこいつをどう倒すかそれだけでいい』
「まずは観察からだな」
『さぁ化け物攻略を初めようか』
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