第7話 一言何か言ってくれないと困る

突然視界が真っ白になった

ぶっ倒れたとかではなく突然一面真っ白な空間いた。

そこにいたのは兄であるルーカスであった。

まずは状況を整理しなきゃな


「兄さんここがどこか分かるか?」


話しかけた次の瞬間に兄さんは俺に殴りかかってきた。さっきは一撃で気絶させられたが今回はギリギリで当てどころを顎から額にしたおかげで耐えることができた

突然のことで驚いたがそこに声がかかる


「酔ったりはしてないか?」


実態としてクロを認識したのはこのタイミングが初めてだった。だがゴーストの時と見た目があまりにも変わらないため一瞬で誰かはわかったが


「クロ、この場所の説明とあの兄さんもどきの説明をお願いしてもいいか?」

「あれは俺の想像してるお前が持てる全ての力を使えば勝つことのできるレベルまで強さを落としてるルーカスだ」

「とりあえずこのルーカスもどき相手に一撃も貰わずに5分以内に倒せ」

「それができるようになったらこの空間から出してやってもいいぞ」

「この場所はどう言う場所なの?」

「俺の精神世界だ強制的にお前をここに入れてる。現実ではお前は今魔力欠乏症で気絶してると思われてるな」

「魔力欠乏症って判断される理由は?」

「お前の魔力を消費しないとこの空間を作ることができなかったから仕方なくだ」

「……次からは一言言ってくれ、勝手に魔力使うぞ〜とかでいいから、そうじゃないと親とか兄さんにも心配されるからな」


「了解した」


ならば早速にはなるが模擬戦をしてもらおうか


その一言を皮切りに兄さんもどきとの戦闘が始まる

少し戦ってみて気づいたのはこの兄さんもどきになら絶対に負けないこと

俺がイメージしていた兄さんに1段階ぐらい劣るぐらいだから、勝つ方法は考えてある

鳩尾への蹴りで兄さんもどきがダウンしたのを確認した俺はマウントをとり顔を殴りつける

相手がダウンしてるんだから追撃するなって言う文句は受け付けない。理由は単純、俺は過去に兄さんに同じようなことをされているから


その時の恨みを込めるように全力で殴っていると兄さんもどきが灰になって消えた


(ルーカスとの模擬戦から明らかにレベルが上がったな、自身の中にあるギアが噛み合えば強くなるタイプだったかルークは)


クロが思った通りルークは明らかにルーカスとの模擬戦の後から強くなっている

ここを通過点だと認識するようになっている目標を見据えた動きをするようになっている。


「少し休憩を挟んでから段階を一つ上げたルーカスと対戦してもらうぞ」

「なんなら今すぐでもいいが?」


「いや5分のインターバルの間に魔力制御をしてもらう」


「この世界では痛みや疲れによって動けなくなることはないからな、とことんルーカスの動きを観察しながら実戦をもとに特訓していこう」

俺は首を縦に振り魔力制御を始める


この時元の世界に戻ろうって思考は一切なかった。強くなりたいからとかではなく単純に忘れていた



俺が現実世界に戻ってきたのは修行開始から3時間後のこと結局修行の結果は最初の段階から2段階上がった兄さんもどきに一切勝てなかったために中止された。本当はもっとやりたかったのだが、現実世界の俺の魔力は完全に回復するタイミングであり近くに俺の看病をしてくれている人がいるとクロが言うこともあり切り上げることにしたのだった

クロが見たことない人だと言うことで特徴を聞いたのだが……

言っても言ってもストーカーをやめないあいつだろうと言うことは想像に難くない


「目を覚ましたかい?」


「……看病はありがたいんだけどストーカーはいつになったらやめてくれるんだ?」


「君が僕と一夜を共にしてくれたらかな?」


「小さい時に一緒のベットで寝たと思うんだけど?」


「君も察しが悪いな僕が言う一夜を共にするって言うのはセ「もうちょっとだけ羞恥心を持ってくれませんかね?シィーラさん」


シィーラ・コールト魔国の侯爵家の長女でミアと幼馴染

ミアには劣るものの魔法の才能が飛び抜けており戦闘に関してはまだ拙い部分も多いが監視魔法など独自で開発した魔法がある

そして俺のストーカーである


監視魔法を開発した理由も俺のことをどれだけ離れたところからでも観察できるようにするためらしい


学校では冗談抜きにカッコ良すぎるために男女両方からモテモテである。

そのため俺に嫉妬する奴が稀にいるのだがそう言う輩は全てシィーラがボコボコにした挙句俺のいいところを2時間ほど縛って聞かせる


その後「本当にお前ら付き合ってないのか?」

と聞かれそれに首を縦に振ると同情が帰ってくるレベルのストーカーである


俺が気づく前には監視を初めていたらしく俺の性格に2面生があることもバレている

そのため俺もシィーラとの会話では普通に接することが多い


「ルーカスに負けた後すぐに特訓を初めて魔力切れを起こすとは」

「最低限の努力でできることをってスタンスの君はどこに行ったんだい?」

「こんな性格になればお前が離れていってくれると思ってな」

「僕はどんな性格だろうと君が好きだよ」


そのセリフを聞いた瞬間俺の顔は化け物でも見たかのような顔をしていたと思う

「すごい顔をするね」

「セリフがくせぇ」

「普通はこんなこと言われたらみんな顔を蕩けさせるんだけどね?」

「俺がそんな無様な表情しそうに見えるか?」

「だからこそ君が欲しい」

「今は却下で」

「僕は君が国を出て行ってもついて行くつもりだけど?」

なんで俺が国を出ていくつもりなの知ってるんだよと言う必要もないどうせこいつは聞いてる


「俺は出ていく計画固まってるけどお前はどうすんだよ?」

「僕は国から自由をもらってる立場だからね君のそばにいることが僕の唯一の成果に対する報酬さ」

と耳元で囁いてきたが正直面倒くさい


















主人公がシィーラを面倒くさがるのは生来のものです基本的には面倒くさがりな男なのです


恋愛とかその後の発展もろもろ面倒なのです


因みに外で修行をしている理由は、あわよくば強い魔物と戦闘させて経験を積ませようとするためでした。


クロの鬼畜さが伺えるワンシーン

























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