第4話 イメージで相手を倒せなきゃ始まんねぇよなぁ
「イメージと現実のギャップ?」
『あぁ、相手のアクション受け身その全てをお前が戦ってきた通りのイメージと一致させて動くそれが一番大切なんだよ』
『ジャブの次のアクションは?受け身の後の反撃の仕方は?そもそも受け身は回避か?それとも受け流し?その全てを根本から理解し対応する』
『これをまずイメージできなきゃ意味がない』
「一つ一つのアクションを理解して吸収し対応するってことか?」
『まさにそれだ相手の一歩先を行くために自分の手札を増やし対応力を上げる天下統一を成し遂げた時の俺はそうやって自身よりも格上の相手に勝ってきた』
「明確なイメージか……」
俺は今までの兄さんとの戦闘から動きをイメージしていく
受け身の取り方や回避の仕方こちらの様子を見るためのジャブから勝負を決めてくる時の攻撃のパターンこちらが距離を取った時の相手の対応その全てをイメージしていく
一つ一つの動きならば必殺の一撃以外対応できる自信があったしかし
「全部を連動されて動かれると勝てるイメージが湧かなくなる」
『イメージはできているのか?』
「一応だけど…」
『それは動き一つ一つの明確なものか?』
「そうだけど…」
その瞬間のクロの表情は何か期待しているかのようなそれでいて楽しむような顔をしていた
『ならば次の話に移ろうか』
『次は相手の動きのコピーだ』
「真似をするってことだよな?」
『相手と同じ動きをすることで弱点を探し次になんの動作がしやすいのかを考える訓練だ。このフェーズをクリアすることができれば相手に負けることがまずなくなる』
『相手がよほどの特異体質でもない限り動きのコピーはさほど難しいことじゃないといっても相手の積み上げてきたものが多ければ多いほどコピーに時間はかかるがな』
「相手の動きのコピーか」
兄さんの技の一つ一つは基礎からの応用でできている
だからこそ兵のみんなは兄さんの実力を疑わない、それが明確な努力のもと生まれている動きだと知っているから
歴史上稀に国1番の実力を疑われ決闘を申し込まれる武王がいる
しかし兄さんは決闘を申し込まれた経験がない基礎の動きだけで兄さんの実力を悟らせ他者を圧倒することができてしまうのだ
そんな兄さんの動きの模倣簡単でないことは想像できるだとしても兄さんや天才たちに勝つための努力ならやってやる
「まずはイメージだけでいいんだよな」
『構わん』
『そして見つけろその動きを模倣するために必要な物を、筋肉か?それとも目か?体の柔らかさか?』
イメージが終わった結果俺が感じた足りないものそれは筋力と状況判断能力だと感じた
それをクロに伝えると
『ならば必要なのは筋肉を増強するためのトレーニングと実践経験だな』
『両方とも俺に当てがある、焦らずじっくりと修行して貴様の努力周りに知らしめていこうではないか』
『まずは筋肉増強トレーニングからだな』
『体の線がまず細い体を大きくするために食事の量を増やすようにしていこう。今の身長体重は?』
「175cm68kgだ」
『軍人にしては少し軽いなここからの食事で75kgまで増やしトレーニングで72kgまでしぼるようにしていこう』
「実践経験の方はどうするんだよ?」
『暫くは机上の空論やセオリーだけをひたすら勉強していくようにしよう』
「了解」
その日から1ヶ月間食事のトレーニングとイメージの細分化クロからの机上の上での戦術のセオリーなんかを学んだ
中でも面白かったのは、フットワークの軽い相手への対策と対応だった
相手の足場を崩す絡め手や受け身の取り方
兄さん攻略への大きな足がかりとなるような
情報だった
ちなみにこの1ヶ月間俺は兄さんと一度も戦っていない手の内を晒すのが嫌だったのもあるが1番の理由は成長した姿を兄さんや家族に見せるためそれが大きいと思う
そして俺は今日1ヶ月ぶりの兄さんと勝負をする
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