気になる幼馴染
明日香は機嫌が悪かった・・・・というより、不安だった。
何が不安かというと、それはもちろん、深と涙の関係だった。
深と明日香は会社で知り合い、深の優しさに惹かれ、明日香からの猛アタックで交際にこぎつけた。
年齢も10歳近く違う明日香は、イマイチ自分に自信を持てずにいた。
1人部屋で、深にラインしようとするも、子供っぽい行動に、ストップをかける。
それを繰り返していた。
――はぁ。気にしてても仕方ない。
深さんを信じるしかない。
そう思い、スマホを置き、ベットに入る。
――明日も仕事だ。もう寝よ。
ウトウトしていると、未有との共通の友達からラインがはいった。
なんと、未有が交通事故に合い救急車で運ばれたらしい。
慌てて飛び起きる明日香。
部屋の中をウロウロするが、慌てても仕方ない。
今夜はもう寝て、明日、友達からの連絡を待つ事にした。
朝になり、陽の光がカーテンの隙間から差し込む。
結局、昨夜は、まともに寝る事はできなかった。
ボサボサ頭でメガネをかけ、スマホを確認する。足を骨折したものの、生命に別状は無かった。
「はぁぁ。」
明日香は安堵のため息をついて、部屋を出た。
リビングに行くと母親がトーストと目玉焼き、サラダとオレンジジュースを用意していてくれる。毎朝必ずだ。
「お母さん、未有が交通事故に合って入院したみたい。」
母は驚く。
「え!!大丈夫なの!?」
明日香は自分の席に座る。
「足を骨折しちゃったみたいでさ。近いうちにお見舞いに行ってくる。」
「大変!可哀想にね。」
母には深との交際はまだ伝えていない。
父と母と3人暮らしの明日香は、なかなか子供ができなかった両親が不妊治療をしてようやく生まれた1人娘のせいで、他の家より過保護に育てられた。
就職するまで門限も厳しくて、彼氏なんて、なかなか作れないでいた。
10歳近く年上の彼氏がいるなんて知ったら大騒ぎになるに違いない。
深に迷惑かけないように、もう少し落ち着いたら報告する事にした。
明日香は朝食を済ませ、仕事に向かった。
出社した明日香は、昨夜あまり寝れなかったせいか、まだかなり眠気が残っていた。
半分ボーッとしながらパソコンの前に座る。
「おはよう。伊藤さん。」
中村喜佐子が声を掛ける。
「おはようございます・・・」
「どうしたの?体調悪いの?」
「いえ、ちょっと友達が、事故に合って救急車で運ばれたって連絡があって、心配で寝れなかったんです・・・」
「え!?大変じゃない!!」
「でも、大丈夫です。仕事は仕事なんで。」
中村は心配そうな顔をする。
「わかったけど、あまり無理しないようにね。どうしてもキツかったら言いなさいよ。」
「わかりました。ありがとうございます。」
「阿川さん、おはようございます。」
「阿川さん、おはようございます。」
「おはよう。」
深が出社し、社員が挨拶をする。
明日香は、涙との事が気になり、なんとなく気まずかった。
「おはよう。」
何も知らない深は、明日香にいつもどおり声をかける。
「おはようございます・・・」
明日香はパソコンを見たまま挨拶した。
「阿川君、伊藤さんは今日少し体調が悪いみたい。」
中村が明日香を気づかう。
深は明日香を見た。
「大丈夫か?キツかったら言えよ。」
明日香は横目で深をチラッと見て頷いた。
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