ケンカするぼど・・・

居酒屋を出た2人は、ゆっくり川沿いを歩く、ナイトマーケットが終り、いろんな店が帰り支度を始めている。


「ここ、よく通るけど、なんかやってるなとは思ったんだけど、ナイトマーケットやってたんだね。」


涙と笑輝は手を繋いでゆっくり歩く。


「今度、ゆっくり見ようか。」


笑輝は涙に言う。


「うん。」


涙は嬉しそうに答える。

2人の周りには、たくさんのカップルや、家族連れ、犬の散歩の人など、ナイトマーケットを楽しんだ人々が行き交っている。


涙の目に一組のカップルが止まった。


「あれ、深君じゃない?」

「え?」


深と明日香は、2人に気付いた。


「涙ちゃん、偶然だね。仕事帰り?」

「そうなの。深君も仕事だった?」


笑輝は2人のやり取りに少しヤキモチを妬く。


「うん。でも少し早く終わったからさ。」

「そうなんだね。こんな可愛い彼女とデートなんだ。」


深と話す時の涙は、他の人と話す時にと少し違う、幼い顔になる。それが少し、笑輝には気に入らなかった。


「あ、彼女さん、この間は、どうもありがとうございました。お礼が遅くなってすみません。」


涙は、仮面舞踏会の時の事を思い出し、明日香にお礼を言う。

明日香は一瞬、なんの事だか、わからないといった感じだったが、深に言われて、すぐに思い出した。


「いえいえ、大丈夫です。」


明日香は恐縮した。


「彼女は及川涙さん。昔、少しの間、隣に暮してた事があるんだ。そして、こちらは・・・」


深は、笑輝の顔を見る。


「春川笑輝です。涙さんとお付き合いしてます。」


笑輝は、ドヤ顔で答える。


「春川君ね。この子は、うちの会社の社員で、伊藤明日香さん。」

「伊藤明日香です。阿川さんと、お付き合いしてます。」


明日香も、涙にドヤ顔をした。


「もしかしたら、今後また何かの縁があるかもしれないし、よろしくお願いします。」


深は2人に挨拶をした。


「じゃあ、あまり邪魔しちゃ悪いし、俺らは行こうか。」


深と明日香は2人に会釈をした。


「じゃあまたの深君!」


涙は無邪気に深に手を振る。


笑輝はムッとしている。


「どうしたの?」

「べつに。」

「怒ってるの?」

「・・・・」


涙はため息をつく。


「なんでため息なんかつくんだよ。面白くないのは当たり前だろ。」


笑輝は拗ねる。


「ため息つくわよ。深君は幼馴染よ。なにが面白くないのよ。」


その一言に、笑輝はカチンときた。


「彼女が他の男と仲良く喋って面白い男なんて居るわけないだろ!」


涙もカチンとくる。


「何よ、じゃあ、あたしは誰とも喋っちゃいけないの!?わかったわよ。じゃあ、もうコンビニでも男の店員さんのとこには並ばないから!」

「そんな事言ってないだろ!」


涙はまた、ため息をつく。


「子供すぎてやってらんないわ。あたし1人で帰るから。」


笑輝も引かない。


「その溜め息つくクセやめた方がいいぞ!

俺も1人で帰る。じゃあな!」

「さようなら!」


2人はプイッと別れた。


――なんだよ涙のヤツ。全然わかってねえ!

男なら誰だって他の男に、あんな無邪気に話しかけたらイラつくに決ってんだろ!


――何よ笑輝ったら!あんな事でイチイチ怒ってたら、この先やっていけないじゃない!

窮屈すぎるわ!


2人はそれぞれ、イライラしながら帰宅した。


マンションに戻り、涙はコートを脱ぎ、ソファに座る。

スマホが鳴ったのでラインを確認すると、愛人からだった。

涙は疲れとイライラで、あまり乗り気ではなかったが、仕事と割り切り、行く事にした。


タクシーを呼び、いつもの高級ホテルに向う。

涙が着く頃には、男は先にシヤワーを浴びていた。


涙はいつものように服を脱ぎ、下着姿で男の上にまたがる。

男は涙のブラジャーをはずし、白く綺麗な胸に顔を埋める。

右手の親指でトップをゆっくりさすると、だんだんトップが固くなる。

次は口に含み、舌で転がすと、たまらない快感が体を走る。

涙は自分から腰を動かすと、男の大きく固くなったモノが涙に当たる。


「あっ、あっ、気持ちいいわ・・・」


その声で男はたまらず涙を下に倒し、覆いかぶさり、涙の熱く濡れた場所に舌を這わせた。


「はぁ、はぁ、」


涙は大きく足を開く。


「ああ、気持ちいい・・・もっと・・・」


男は下着を取り、直接、舌を転がしたり、指を入れる。

男の指の動きが早くなるにつれ、涙の体は限界に近づいていく。


「ああ、ダメッ、ダメダメダメダメ!」


涙は体をのけぞらせる。


「ああ!!」


ベットもシーツもビショビショになり、涙は絶頂に達した。

そしてそのまま、今度は涙が上になり、男に避妊具を付け、男のモノを入れる。

最初はゆっくり、滑らかに、男の吐息が聞こえてくると、涙は徐々に早く腰を振った。


「いい、いくぞ、出すぞ!」


「あたしも・・・いくっ!!」


涙は男の胸に倒れ込んだ。

いつも、愛人といるときは笑輝の顔が浮かぶ事など無かったのに、今日は急に笑輝の顔が浮かび、少し複雑な気持ちだった・・・




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