第6話 恋人

 激しい行為が終わり、俺達は横になる。 

 チラッと横を窺うと、裸の優奈と目が合った。

 お互いの顔を見て、俺達は笑い合う。


 優奈の笑顔、可愛いな……。

 彼女の顔を見てるだけで、心がポカポカする。

 ただ傍にいるだけなのに、幸せな気持ちになる。


 やっぱり俺、コイツのこと好きだわ……。

 前まで優奈のこと女として見てなかったけど、

 あのセックスからコイツのことが気になって仕方ない。

 

 もう2度と優奈のこと妹として見れないだろうな……。

 そうだよっ、彼女は女の子なんだ。

 可愛くて、優しい素敵な子なんだ。

 それをセックスを通して知ってしまった。


「なぁ優奈」

「ん? なに?」

「俺さ、お前のこと好きになったみたいだ」

「ふーん、そうなん……ん? えぇぇ!?」


 俺の告白に、優奈は目を見開く。

 顔は真っ赤になっていた。

 驚きと恥ずかしさを含んだ顔を俺に向けてくる。

 

「あ、アタシのこと好きになったの……?」

「ま、まぁな……」

「ふ、ふーん、そうなんだっ……」


 優奈の顔は更に赤くなる。

 耳も真っ赤になっていた。

 照れてる彼女も可愛いな……。

 これは反則だろっ。


「優奈は俺のことどう思ってんだ?」

「アタシも……お兄ちゃんのこと好きだよっ」

「……」


 優奈も俺のことが好き?

 俺達、両思いってことか?


 え? これ現実?

 実は夢でした、残念無念また来週!とか言われたら、俺絶対自殺するぞ。


「本当に俺の事好きなのか?」

「本当だって! アタシっ、昔からお兄ちゃんのこと大好きだったよっ……」

「……」


 マジかよ、優奈も俺のこと好きだったのか。

 しかも、昔から俺のこと想っていたのか。

 全然気付かなかったな。

 俺、実は鈍感なのかな?

 そんなことないと思うけど……。

 

 けどそっか。優奈も俺のこと好きなのか。

 だから俺に身体を許してくれたんだろう。

 色々と納得だ。


「お兄ちゃんもアタシのこと好きなんだよね?」

「ああ、大好きだよっ」

「っ……」


 俺の言葉に、優奈の顔はカッと赤くなる。

 恥ずかしいんだろう。


「な、ならアタシと付き合ってくれない?」

「ああ、喜んで」


 俺はそう言って、優奈の唇を優しく奪う。

 彼女は俺の唇を受け入れてくれる。

 そっと俺達は唇を離した。


「えへへ、アタシ幸せだよっ」

「俺もだよっ」

「んっんっ……ちゅっ、んっんっ、ちゅっ」


 再び俺達は唇を重ねて、愛を確かめ合う。

 部屋中にチュッチュッと幸せなBGMが鳴り響く。


 正直、俺は恋人なんかほしくない。

 だって、恋人作ったら面倒な人間関係に巻き込まれるし。

 ときには喧嘩することもあるだろうし。

 そういうの面倒くさくて、俺は恋人がほしいとは思わなかった。

 周りの連中がイチャイチャしてるところ見ても、全然羨ましいと思わなかった。

 本当に興味なかったんだ、恋愛に……。

 けど、優奈となら上手くいく気がする。

 彼女となら幸せな生活を過ごせるような気がする。

 だから、


 何度もキスしていた俺達は、そっと唇を離す。

 大好きな人の顔を見て、自然と俺の表情は緩んでいた。


「優奈、これからよろしくな」

「うんっ、よろしくね、お兄ちゃんっ!」

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