理解した男

 俺は理解した。

 右上に表示されているユーザー名をタップし、上の方にある『ワークスペース』を開き、右上の歯車ボタンを押し、『基本設定とオプション』の右にある『ツール』を選び、『削除』を選べば、簡単に小説が削除できるのだと。

 俺は本当に馬鹿だ。こんなことも分からなかっただなんて。

 俺は何も分からない。俺がどうしてこんなことをしているのかも、俺がどうして生まれてきたのかも、俺がこの先何をして生きていきたいのかも。俺はこの世の全てのことが分からない。

 だというのに──

 某小説投稿サイトにおける小説の削除方法などという一生知らなくても生きていけたであろう知識を得て、俺は何故かとても晴れやかな気持ちになった。やはりこのUIはクソなんじゃないだろうかという疑問は残るが、そこらでスキップでもしたい心地だ。

 俺は何も分からない。だから辛く苦しい日々だが、たがらこそまだ知らぬ面白おかしい事象もきっとこの世にたくさんあるのだろう。

 俺は何も分かっちゃいないが、カクヨムでの小説の削除の仕方を知った。

 そして、俺はまだエピソード単位での削除の方法を知らぬままでいる。

 でも、それで良いじゃないか。

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あっ、えっ、あれ? しろしまそら @sora_shiroshima

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