第弐話 三つ巴

雨が地面に衝突する音と、道に溜まった雨水をバイクで掻っ切る音と、バイクのエンジンの音が常に鳴っている。百キロほどの所で、給油所に止まり、ガソリンを機械に給油してもらっている間に、給油所に隣接している食堂で食事をしていると、二人の男に話しかけられた。

男一「なぁ、おっさん、あのバイクおっさんのか?」

私「確かにあれは私の物だ」

男一「痛い目にあいたくなきゃ、とっとと鍵渡せ」

私「ならば、痛い目にあいたくなければ、失せろ」

男一「あぁ? てめぇ、強いと思ってんのか?」

と会話し、立ち上がると、男1が殴りかかって来た。殴りかかって来た拳を手刀で手首を叩き、刹那で首と横腹を手刀で切り、最後に首をつかみ床に叩き落とす。二人目の男はナイフで切りかかって来た所を、避けて足を使って転ばせ、仰向けになった所で胸を踏みつけ、「仲間を連れて失せろ。愚か者」と云って、足をどかして外に出てバイクに跨り、東京へ向かった。

百七十キロほど走ると、目的の街に到着した。中心には複数のビルが並々として、外側へと行く毎に建築物が小さくなり、最も端には検問所が立ち、私は検問所の前に居る。検問所に入り、警察に特殊パスポートを渡すと、警察が無線で「変なパスポートを持ったバイク乗りが来た。応援求む」と云った。一分程待つと、重装備の人間が十人程度と、ロボットが二体と警官が二人と、警官とも軍人とも違う服装の男が二人やって来た。違う服装の男は、私に似た服装で、革製の手袋を装着し、ハンドガンを装備している。その男がパスポートを機械に入れ、画面を見て、聞こえない程の小ささで云った。唇の動きでは、「コードネーム…黄金郷か…」

似た服装の男「元ソルジャーでしたか。にしても、まだ生きていたなんて、驚きです。どうぞお通り下さい」

パスポートを返して貰い、通過した。数十メートル進んだ所で、後ろから撃たれ、タイヤが壊れてバイクが転倒した。重装備の人間たちが撃ちながら私の方に近づいて来る。バイクに身を隠して居るおかげで被弾はしていないが、このままではまずい。

重装備の人間たちがある程度進んだ所で、バイクの拳銃を抜き、発砲した。全弾頭に命中させ、リロードしてまた重装備の人間に頭を撃ち抜き、残りの2発でロボットの頭を撃ち抜くと、警官は逃げ、私と似た服装の男だけになった。

私「お前は何者だ!」

男「私はソルジャー第4364号! そして階級はハンターだ!」

男はそう云うと、銃を撃ち、私はロングコートで防ぎ、リロードのタイミングで走り、跳び蹴りをする。男は避け、私を殴ったが、私は防御して、右ストレートを顎に打ち込み、回し蹴りで頭を蹴ると、男は防御したが、ふらつきながらカランビットナイフで二回私に傷を付け、私はナイフを持った右手を掴み、男の体を引き、ラリアットを食らわせ、男が気絶したのを確認し、バイクに戻ろうとすると、体に突然力が入らなくなり、倒れて、気絶した。

目が覚めると、パジャマの様な服でベッドで横になっていた。起き上がり、ベッドから出ると、洗濯された私の服が掛けてある事に気づき、着替え、部屋を出ると、またもや私に似た服装の男が三人いた。構えると、一人が云った。「私達はあなたの敵ではありません。落ち着いてください」

私「であれば、ここはどこだ」

男「ここは国務長官の家です。何故ここにあなたが居るのかと云うと、あなたに手伝ってほしいことがあるのです」

そう云われ、男達に付いて行くと、大きな書斎に通された。そこには恐らく六十代の禿げた男が居た。

禿げた男「これはどうも。私は国務長官の「沼田 太郎」と言います。宜しくお願いいたします。あなたが上終勇さんですね。手伝ってほしい事があります」

私「何をだ?」

太郎「それは、龍宮カンパニ―と戦ってほしいのです。現在、龍宮は二度の代替わりが起こり、そしてまた、三つの神器を集め始めました。前回ではギリギリの所であなたが龍宮を裏切り、永遠に天下を取る事が出来ずに、云ってしまえば三日天下状態でした。ですが、今回は総理と多数の政治家を仲間にして、数千のソルジャー達が龍宮の手下となり、卑弥呼の水晶だけでなく、蜻蛉をあなたから奪い取り、さらには我々の重要な仲間を次々と殺しています」

私「…残念ながら、私は君と手を組む事は出来ない」

太郎「な、何故ですか!」

私「それを言う事は出来ない」

太郎「であれば仕方がありません。無理やりにでも手伝ってもらいます」

そう云うと、三人の男達が私を囲った。一人目は警棒、二人目はサバイバルナイフ、三人目はハンドガン。沼田は無線で「交渉は決裂した。気絶させ、無理やり仲間にする。応援を連れて来い」

脳内で多数の作戦が作られる。思いつく限り、まず最初にハンドガンを持った男を倒し、ハンドガンを奪って沼田を人質にする。

ハンドガンを持った男を一撃で気絶させ、銃を奪い、沼田が居る机に立ち、銃を突きつけて人質にしようとすると、銃が爆発した。沼田は砂となり消えた。

警棒を持った男が私に襲い掛かると同時に、ナイフを持った男が攻撃を仕掛けた。警棒の男はジャンプ、ナイフの男は私の右の横腹に向けてナイフを刺しに来ている。腕時計型のオーパーツを起動し、時を数秒止める。警棒の男を強靭な蹴りで吹き飛ばし、机から降り、時はまた動き出す。両方の男はとても驚き、ナイフの男を蹴り飛ばして、部屋を出た。

廊下を走っていると、数十人の黒服(スーツ)が現れた。こうなれば仕方ない。刹那の刻で半数を殺し、黒服が持っていた刀で疾風の如し速度で抜刀し、残りを切り殺した。血を振り払い、鞘に戻し、進んだ。敵を斬り伏せながらガレージに到着すると、私のバイクが置いてあった。ガソリンを入れ、エンジンを起動して今すぐ出せる速度で屋敷から出て行った。


第弐話 終

つづく


ゲーム風一口解説「ソルジャー」

ソルジャー、基本的には男性がなれる。科学者「澁澤 清」がソルジャー計画を立案した。現在は方法が変わっているが、当時はオーパーツで肉体を改造し、さらには改造したオーパーツを身体に埋め込むという非道な方法でソルジャーを生み出したが、耐えられる者はごく少数であり、成功したとしても、いずれ肉体が耐えられなくなり、死へと至る。ソルジャー第一号計画では、十人ほど成功体が居たが、最終的に一人になった為、ソルジャー第二号計画が始動した。第二号計画では、唯一成功体が一人しかおらず、その成功体の名前が「上終 勇」。澁澤は、真の成功体は二号と十一号だけだと云った。(清はソルジャー十二号が誕生してから二週間後に死亡した為、それより先のソルジャーにも、二号や十二号ほどの者がいる)ソルジャーには、コードネームが存在する。

追記 一口解説「ソルジャー」の一部を諸事情で削除いたしました。

追記2 一口解説「ソルジャー」に解説文を少し足しました。

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