第3話 西方面軍 ピンチ やばい
魔族圏は、大陸の北側の端。人類圏とは山脈を挟んで位置している。 北には海、東西は平野、南には山脈がある状況だ。よって人類軍の東西からの進軍は必然となる。海からの進軍は人類が海戦術は魔族には敵わないと言う理由で積極的には行われていない状況だ。
魔族圏 西方平野ライメルネ
銃弾や魔法の飛び交う辺り一面の戦場景色。足元を見れば昨夜共に会話した戦友が冷たい肉の塊となって転がっているのが当たり前と思えるような暗い平野。ここでは日夜人類軍と魔族軍の熾烈な争いが繰り広げられていた。
「こちら作戦司令部。現状を報告しろ。」
「第12班、現状報告!魔族側の防戦はいまだに続いております。しかし、確実に勢いは落ちています。」
「第5班、現状報告!12班同様魔族の反撃は弱まっています。」
「了解。現状を維持しつつ、進軍を開始せよ。」
「「了解。」」
人類軍は魔族の体に多く存在する魔力の流れを乱すガス兵器を用いて現状魔族に対して優勢に立ち回っていた。それにより魔族部隊の戦闘は防戦に徹することを強いられていた。
「こちら、前線部隊長。ガスの影響で部隊稼働率は40%にまで低下しました。このままでは突破されます。」
「なんとか持ち堪えろ。どこも戦力が不足している。耐えてくれ。」
魔族側がガス兵器の影響を受け始めて1週間。隊員の運動能力に深刻な影響が出始めていた。魔族の体には血液のように魔力が流れている。よって魔力に作用するガス兵器の効果は魔族にとって効果抜群であった。
「魔王様、人類軍のガス兵器によりライメルネ戦線の各部隊の平均稼働率が50%を切ったとの報告が入りました。」
「えっ、50%切ったの?そいつはまずいな。首都にいた将軍は今どこにいる。」
「はい。戦線まではあと半日の距離まで移動しています。」
魔王は戦線は半日も持たないと考えに至った。幾度の戦場を経験した彼にとっては、戦場においての人類軍の容赦のなさはは苛烈を極める物だと十分理解していたからだ。 よって、彼は一刻も早く戦争の終了を望んでいた。しかし、現状西方が劣勢の状況での勇者討伐宣言はかえって人類軍の火に油を注ぐ材料となりかねないと危惧していた。
「本当に困った。エッグ、何かいい案はあるか。」
「はい、ここはやはり戦線を後退をしつつ将軍との合流を早める動きが最善かと。」
「やはりそうか。ならば戦線を後退させ、将軍との合流を急がせろ。」
「はい。」
魔族は保有する魔力の量で強さが決まってくる。中でも将軍の地位にいるものは魔力の保有量が魔王に次いで高く、戦闘力や抵抗力も並の魔族とは群を抜いていた。よって、戦況を好転させるには将軍の合流が非常に重要となっていた。
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