第22話 情報ゲットっ♪
「……」
爺さんの暗い夜の森を歩く足取りは重い。
壺の中の赤子が物理的に重いのではなく、蛇にずっと睨ませているようなプレッシャーが重いのだ。
「ふふっリュウトにほぅこくしたらどぅおもうだろっ」
実際に遠くから見張られているからだ……蛇に。
街のはずれにあった古屋からさらに奥へ行き、街の【結界】から出るとすぐに女が出てきた。
「あらぁ、誰が連絡くれたかと思ったら……久しいねぇ爺さん」
女は見るからに悪人で、ねっとりとした口調で話し続ける。
「伝えて無かったかねぇ?最近、こっちは儲けてねぇ、しばらくこう言う危険な事は避けたいんだけどねぇ?」
「しかし、全ての奴隷をグリードの王に買われて品薄のはずじゃろ?」
「そういう見方もあるねぇ」
「今回はこれじゃ」
壺の中の赤子を見せる。
「あらぁ、カワイー」
「どうじゃ?」
「却下」
「ぬ!?」
「ただでさえコストのかかる赤子からの奴隷だ、買う理由がないねぇ」
「しかし其方は!__っ!」
ヒュッと風を斬った音がすると爺さんの頬から血が垂れる。
「わからないかねぇ?こっちはしばらく休暇するって言ってるんだ」
「ぐぬぅ……」
「その交渉、よく考ぇたほぅがぃぃかもよっ?」
「!?」
「ぉっとっと」
悪党の女は有無を言わさずに攻撃を仕掛けたがみやは見切り2本の指の間でナイフを受け止めた。
「爺さん!つけられてたのかねぇ!」
「い、いやこれは!」
「ぁんしんして、わたしはお客さんだょっ」
「は!?何を言って__」
「ほ、ほんとうじゃ!わしが連れてきた!」
爺さんは慌てて2人の間に割って入り止める。
「爺さんアンタボケたんじゃなかろうねぇ」
「こ、この娘は本当に金を持っておる、それに悪人じゃ!人を殺すのにためらいもない!」
「…………」
「…………」
言ってることは全てあっているのでみやも訂正をしない。
「…………お前の言ってた事、どういうことだい」
女は警戒を解かずに質問をする。
「その赤子、この国の“代表騎士”の娘だょっ」
「な!?」
「なんじゃと!?」
「何で爺さんまでびびってるんだい!」
「す、すまん」
代表騎士。
この世界の人間の3カ国。
《グリード》《ミクラル》《アバレー》この3つの国にはそれぞれ1人ずつ王直属の騎士が居る。
みやは魔眼を通して赤子が何者かを気付いていた……気付いたのは他にもあるが……
「証拠は?」
「アバレー王国に居る裏組織の《熊さん組》に行って「マルセッター」って言えば取引できると思うよ、それが合言葉だから」
「なんでアンタが知ってるんだい、熊さん組なんてやばい組織にそんな情報だけでいけるわけないねぇ、証拠を出せって言ってるんだい」
みやはうつむきながら静かに答える。
「……信じろょ」
「悪いけど、今こっちは危ない道を通るわけには__」
みやはそこで手を一振り。
すると周りの木々が一斉に“何かに斬られた”様に倒れ始めた。
「っ!!」
みやから放たれる殺気。
爺さんは耐えれずその場から逃げ出した。
「化けの皮が剥がれたねぇ」
「ぉまぇごときに皮を剥がされる様なことは一生ない、黙って従え」
人攫いの女に冷や汗がたれる。
今まで敵わない敵からはうまく逃げてきているので目は肥えてる。
その目が前にいる小さな女の子がやばいと見抜いたのだ。
「……わかった、報酬は?金かい?」
小さな少女は蛇のように笑顔を浮かべながら言った。
「ぉ友達になろっ♪」
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