第15話 クバル村
「ここか」
人の気配は全くない村。
かつて、家だった建物は結界が機能しなくなったおかげで風化し魔物に荒らされた後でボロボロだ。
俺はギルドにあった“集団失踪事件”があったクバル村へ来ていた。
もちろん、秘密ではない。
この村に知り合いや親族が居る人達がギルドや冒険者たちに捜索願を出して居るので今や誰もが知る事件だ。
現在、この村のギルドは廃止。
転移ポータルも無くてここに来るには“ダイヤモンド冒険者”になる必要があった。
そこまでして何故ここに俺が来たのかと言うと__
「俺達が召喚される数日で事件が起きた村、か……」
そこに俺は違和感を感じていた。
もちろん、偶然と言う事はありえるがそれを確かめる為にもここに来る必要があった。
「……」
廃村を静かに歩き始める。
すると、一つだけ……
「やはり、何かあるな」
その建物は、周囲の朽ち果てた建物群の中でひときわ異彩を放っていた。
ひび割れもなければ、崩れかけた壁もない。
まるで時間の流れから取り残されたかのように、その建物だけがしっかりとした姿を保っていた。
「……」
扉を開く。
中に入ると、厳粛な雰囲気とともに漂う静寂。
高い天井から吊るされたシャンデリアが柔らかな光を空間に放っている。
左右に並ぶ美しいアーチ型の窓から差し込む光が、柱に影を落とし、壮大な空間に陰影を与えていた。
正面には大きな髪の長い女の銅像があり、深い慈愛と悲しみが感じられる。
十字架の周りには、祭壇が厳かに配置され、その前には赤い絨毯が敷かれている。絨毯の上には、祈りを捧げるためのベンチが整然と並べられていた。
「教会か」
怪しさがマックスだな。
「さて、なら探索を始めるかな」
俺は一枚の魔皮紙に魔力を通す。
「【サーチ】」
この魔皮紙の使い方は本来、魔物用の罠を張った時に自分がハマらないように場所を確認するために使う魔皮紙だ。
今回使った物は俺が独自で改造したもので“全ての魔法陣”が一定時間見えるようになる。
一つ問題があるとすれば。
「結構あるなぁ」
この世界では“建築にも魔法陣が使われてる”ので数百、数千の魔法陣が見える。
例えるなら建物の風化を遅延させる魔法陣から壁に汚れがつきにくくする魔法陣まで見えている。
「えーっと、これは建築用建築建築……あった」
大方の魔法陣は覚えているので“そこにある異質な魔法陣”に気付いた。
「天井か……確かに、意図的じゃないと無理だな場所だな」
ジャンプして天井の魔法陣を起動させる。
すると、まるで生命が宿ったかのように正面の女の像が動き始め自分の立っていた箇所の床を開け、地下への階段が現れた。
「やっぱりな……」
【光源】という光の玉がついてくる魔皮紙を使い一本道の長い長い暗い階段を進み____
「このパターンか」
真っ暗な空間に辿り着き、そこには白い巨大な蛇が眠っていた。
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