第9話 『終わり。』
世界が終わる。
1人の『女神』によって。
太陽が無くなり光のない暗黒の世界。
生物も勇者パーティーを除いて全て死んだ。
『キャハハハハハ♡』
その『女神』は全てが美しい。
金髪の髪、真紅の瞳。
美しい身体。
太陽がなくなったのに光っているように見える白い肌。
禍々しい骨だけの漆黒の羽さえも美しい。
『これで全部終わりね♪』
周りには女神と戦った者達が倒れている。
私もその一人……
「お、お母さん……助けて」
最後の希望で『女神』の中にいるはずの人物に私は呼びかける。
『キャハハハッ♡無駄よ?アオイちゃんはか〜んぺきに私に食べられたんだから♡』
「そ、んな……」
『それじゃ、ばいばーい』
そう言って女神の前に手のひらサイズの魔法陣が展開される。
それに手を伸ばし__
『__っ!!」
その場で固まった。
『流石……勇者に選ばれる事だけはあるわね____アオイちゃん』
「!?」
その言葉で理解した!
今も尚、あの身体の中に居るのだ!
私の“お母さん”が!
「おかぁさん!!!」
『ぐ____』
私の問いかけに女神は苦しみ始め、雰囲気が変わる。
『や、やぁユキちゃん……元気、かな?」
「おかぁさん!」
嬉しくて涙が出る。
自分の方が辛いはずなのに……魂を貪られてるはずなのに、自分よりも人の心配をしてくれる。
『あ、はは……どうやら……遅すぎたみたいだね」
「そんな事ない!おかぁさんは悪くないです!」
『ありが、とう……ぐ、が……ごめん、やっぱり抑えるの無理みたい」
そう言って母は私の横に魔法陣を展開させる。
「この魔法陣……転送魔法?」
『もう少しで俺の魂は消える」
「!?」
『最後のお母さんのお願いだよ、その魔法陣の中に入って!」
「で、でも!おかぁさん!」
『大丈夫、俺が消えてもユキちゃんの心の中には俺が……俺達が居る!」
「っ……」
『心が挫けそうな時は俺の事を、言葉を思い出せ!」
「…………」
『世界は終わるかもしれないけど物語は終わらない!その橋渡しに君がなるんだ!」
「わ、私には__」
そこまで言って思い出す。
母の言葉を……
「そうですよね……“やってダメなら仕方ない!”ですよね!おかぁさん!」
『……」
母は安心した顔になって魔法陣を起動させた。
自分の身体が少しずつ分解されはじめて魔法陣に吸い込まれていく感覚がする。
『君は本当に最高の娘だったよ」
最後に見た母の顔は__涙をこらえながらも笑っていた。
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