第8話 謎の少女の正体
「こんなものか?初めてだがやってみたけど出来るもんだな」
グロッグドラゴンの解体方法は本で読んでいたので頭に入っている。
ふろしき程度の魔皮紙を広げてその上に解体した素材を置いて魔力を流すとギルドへ転送される仕組みだ。
お金をかければこの魔皮紙が強化され大きいものを買えるが元々在庫が少ないため、大きな魔物を狩らないゴールド冒険者は買えない。
今頃ギルドではゴールド冒険者から送られてきた素材がこんな物で大騒ぎしてる頃だろうか?転送先は知らないので解らないが……
「さて、もうこんな時間か」
周りは暗くなってきた頃にようやく解体を終えた。
「リュウトさ〜ん!」
「?」
幼い少女の声が遠くから聞こえ振り向くと__
全裸の少女がものすごい速さで此方に砂浜の砂を巻き上げながら走ってきていた……
「異世界では不思議なことが起こるもんだな」
「リュウトさん!リュウトさんですよね!」
………………
あ、そうか!テンプレな反応しないと!
あまりに不思議なことすぎて忘れてた!
「わわわ!は、裸だよ!」
そう言って自分の目を手で見えないようにして焦ったように言う。
「?、何言ってるんですか?」
…………なるほど。
この反応でいくつかの仮説が俺の中で確立された。
「……とりあえず、これを」
俺は演技をやめて夜に備えていた毛布用の魔皮紙を渡した。
「ありがとうございます」
ふむ……まったく警戒していない。
それにこの慣れた話し方……どこかで会ったことがあるパターンだな。
そのパターンというのがどれかだが……
「話を聞こうか」
「はい」
そう応えると同時に少女のお腹がなった。
「……」
「……」
「何か食べる?」
「は、はい……」
それは恥ずかしかったのか顔を赤らめながら返事をした。
裸の方が恥ずかしくない?
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「こんなものしかないけど」
あらかじめ買っておいた魔物の干し肉を渡す。
他にも色々あったのだが極力ブラックカードは使わない方向で考えている。
そもそも異世界転生ものの主人公がめちゃくちゃ金持ち!と言うのが少ないのとトラブルの種になりそうだからだ。
……流石に命に関わる武器には遠慮なく使わせてもらった。
「ふぁー!!これは!メルピグの干し肉!いいんですか!こんな高いものもらっても!」
「高い?」
「はい!メルピグはとっくに絶滅したから高いんですよ」
なるほど、絶滅か。
「君、未来から来た人間だろ」
「え?」
そう言うと少女は干し肉に齧り付きながらもきょとんとした表情を浮かべた。
俺をリュウトさんって言ってた事を考えると記憶はあるな、となると__
「ここに来てまだ時間が経ってないって事か」
「さ、流石ですね、私も状況把握出来てなかった所なんですよ」
「まずは話を聞こうか」
「はい、実は____
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