第7話 vsグロッグドラゴン!


 「分かんないもんだな」


 擬態していたグロッグドラゴン。

 頭から尻尾までで確かに10メートルはある。


 本で情報を得た時はそんなデカい魔物が擬態してた所で気付かないわけないと思ってたのだが見事に騙されていた……


 「それにしてもミスったな……」


 本来の異世界ものならメルピグを躊躇なく倒してそこからピンチに!


 みたいな展開だったのだろう……くそ!つい現実に考えてしまった!


 「これを取り返すには嫌だけどあのルートしかない!」


 俺は隠れるのをやめて自分の武器。

 

 【レイピア】を取り出した。


 「グオオオオルルルル!!!」


 「いくぞおおおおお!!」


 結局色々試してみたがどれも斬ることに特化している。

 当たり前のことを言ってる様だが、この世界では自分より何倍も大きい魔物が主だ。

 

 そうなるとどうしても手数が増えてしまう。


 ならばレイピアで相手の弱点を突いた方が効率がいいし、もしもパーティーが出来た時に臨機応変に立ち回れる。


 「だけどこの場合はこうだ!!」


 俺はあえてグロッグドラゴンの1番硬い場所。

 自慢の鱗に攻撃して弾かれ一言。


 「くそ!硬い!」


 そこを攻撃してるんで当たり前だがこれでいい!


 「グオォォオオルルルル!!!」


 「ガハッ」


 グロッグドラゴンは尻尾で俺を弾き飛ばしてきた!

 一撃で着ていた装備はヒビが入り飛ばされながら破片を撒き散らしていく。


 そんな事より……痛い。


 「グフッ……」


 砂浜に背中から落ちる。

 後ろが岩じゃなくて良かった。


 「グロオオオオオオオ!!!」


 「な、なるほどな……治療の魔皮紙は……今後……」


 考えないとな。


 あばら骨が折れているのだろう呼吸が苦しくなる。

 

 初めて骨を折ったが痛いし脂汗がひどい。


 「はぁ……はぁ……」


 安物の治療の魔皮紙を胸に当てると息が少し楽になるが痛さは増した。

 この感じ、内臓を先に治したんだろう、後は骨は何とかしろということか。


 「グロオオオォォアアア!!!」


 明確に攻撃されたのでグロッグドラゴンは岩の鱗を鳴らしながら俺に向かって走ってくる。


 なるほど、周りがゆっくりになるこの感覚……トラックで死ぬ時と一緒だ。


 だからあの時と一緒。


 今動けば死なない!


 「死んでたまるかぁ!」


 俺は立ち上がって痛みを無視して横へ全力で走る。

 砂が柔らかく動きづらいが、あちらも俺が動いたのを確認したので曲がるために少しスピードが落ちた。


 その隙に此方はスピードを落とさず、回り込むように後ろに入り込む。


 


 この時、人間相手ではほとんどない現象なのだが、相手が大きいと出てくる現象がある。


 「グロォ……」


 “相手を見失う”という物だ。

 一瞬だが致命的、そして視野で確認する生き物ならば__


 「後ろを向いてくるよな!」


 その場で振り向いてくる。


 その行動を予測し、顔の位置を特定、すでに俺は走り出していた。


 「うぉりゃ!」


 思った通りの場所に顔が来たのでレイピアを最高のタイミングで突く。


 「グロロロロロロロゴゴゴゴ__」


 グロッグドラゴンの目を通し、脳を貫いた。


 締められた魚の様に身体全身がブルブルと震えた後、その巨体は地面にひれ伏した。


 「ふぅ……」


 どんな巨体でも弱点はある。


 「ま、大抵は脳を破壊すればいいんだけどな」


 この世界にスライムとか居たら話は別だが少なくともゴールドとプラチナランクでは居ないみたいだったな。


 「さて……解体してギルドに送るか」


 俺は魔物の素材を解体を始めた__________



 ____________



 ______そして、同時刻。



 リュウトと一緒の無人島に幼い裸の少女が密林の奥深くで気配を感じていた。




 「この感じ……リュウトさん?」




 

 

 

 

 

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