第6話 テンプレギルド!そして依頼へ!
「さて、と」
次の日、俺はギルドの前に再び来ていた。
俺の格好は初心者が買える鉄製の防具だ。
めちゃくちゃ重たいし動くごとにガチャガチャ聞こえる。
別にいい防具を買うのもよかったが、テンプレートを守らなければ俺が彼女と結ばれないかもしれないことを考えると怖くなった。
「いざ!」
頭の装備は買わなかった。
アニメや漫画でも9割無いからな、テンプレート通りだ。
ギルドに入ると視線を感じる。
昨日の俺は城の後ろ盾があったからな、今日はないぞ!
「おいルーキー」
お、コイツは昨日いなかったやつだな。
太い腕に傷だらけの身体にでかい図体……相手にとって不足なしだし、キャラ的にもテンプレートだ。
「…………」
無視して進む。
「ここはお前みたいなヒョロヒョロな奴が来ていい場所じゃねーんだよ、死にたくなければ冒険者なんてやめてとっとと帰りな」
「……」
いいぞ!テンプレートすぎる言葉だ!
後は俺がどう出るかだな。
一番みんなに知られているのは気付いたら自分の力が強くてコイツを倒すパターンだ。
だけど最近ではそれはマンネリ化されているからなぁ……うーん。
ならば、もう一つの方で行こう!
「おい!聞いてんのか__っ!」
俺は肩に手を置いて来た屈強な男を片手で掴みその場で持ち上げ下に叩きつけた。
「!!!?!?!?」
よし、異世界転生のとんでも筋肉はやっぱりあるのか、完璧だ。
後は決め台詞か……えーっと確か……
「ご、ごめんなさい」
完璧!
相手を倒してて何故か謝る主人公!自分の演技に拍手を送りたいくらいだ。
「てめー!やりやがったな!」
さて、後は怖がるフリをすれば__
「ひ、ひぃ!」
「そこまでです!」
そう、権力を持った人が止めにかかるよな。
今回はこの前ギルドカードを渡してくれた叔父さんが止めてくれた。
「ちっ!命拾いしたな」
「……」
男はそう言って自分のところへ戻り、他も徐々に俺への興味を無くしていった。
「大丈夫ですかリュウトさん」
「ありがとうございます、助かりました」
「まったく……あまり目立つことをしないでください」
「ごめんなさい」
まぁお決まりのセリフだけど、あの状況無理だよな?
初心者らしく怯えながら行けば収められるのかな?まぁいいか、これで話が進められる。
「依頼を受けたいんですけどどうすればいいですか?」
「依頼ならそこの受付の方に言ってギルドカードを掲示すれば今受けれる一覧表が貰えます、そして受けたいものに魔力を通せば自動的に依頼主に連絡が届きますので」
「ありがとうございます」
「その装備で行くんですか?」
「はい!」
「……その、大きな声では言えませんが、あなたはもっと良いのが買えるでしょう」
「これでいいんです」
異世界もので最初から最強装備は少ない。
それはテンプレとは言えないだろう……もっとも、ここ最近良く見るのは服みたいなヒラヒラした装備を着ている事が支流で身につけてる物については言及されてないことが多い。
なので、俺も習って同じ様なことをしようおしたが、この世界では性能がいい防具ほど普通の服の様に布の様になっていき、逆に最強装備として周りから注目を集めてしまう。
よって、今の格好だ。
「さて、と……」
そんな事を思いながらも受付の人から依頼表を貰った。
「思ったとおりだ」
そこには初心者の冒険者が出来る依頼がギッシリとあったが明らかにふさわしくないものがあった。
「【グロッグドラゴン】の討伐か」
この世界の冒険者にはランクがあり、現在の俺は最底辺のゴールド冒険者……魔物の討伐依頼などないはずだ。
だが、ある。
ここまでテンプレを知ってると明らかに誘ってる様にさえ思えるな……
「さて、と、ここに魔力を通せばいいんだな」
俺は魔力を通してその依頼を受けた。
______________
__________
____
「ついたな」
魔力を通して依頼を受けた後、ギルドにある転移ポータルで目的地の密林についた。
周囲の静けさは不気味な雰囲気を一層際立たせる、時折聞こえる音や、密林の奥深くから聞こえる魔物の鳴き声を聞くとファンタジーの裏の部分、恐怖の部分が皆見えた。
まぁ、だけど、恐くはないな。
それは自分が力があるからではなく、元々の感覚だ。
そう言うところが欠如しているのはこの世界では良くないのだろうな……本当に命を落とす世界なのだから……
「俺は、この世界ではまだ死ねない」
そう。
あの人に告白____違う、あの人を俺の物にするまでは死なない!
「って、1人で盛り上がってる場合じゃないな」
出発地点は砂浜。
ここの地中深くに転移ポータルの魔法陣を隠してるのだろう。
ここには必要最低限のものだけ持って来てる。
ライトノベルでも見たことないしな、めちゃくちゃ荷物持ってる所とか……
俺は目を閉じる。
「【グロッグドラゴン】__密林深くにある洞窟に生息。
この魔物は数十メートルよ巨大な体躯と鋭い爪、そして赤い目を持ち、常に闇に包まれた洞窟や地下で生活をしている。
地下の鉱石を食べている。
その影響か鱗は岩の様になっていて擬態が可能。」
こんな所か、本に書いてたのは。
噂によるとプラチナ冒険者になる最初の試練でもあるらしいな。
「ま、とりあえず進むか」
俺は地図を見ながらその場から海に沿って歩き始める。
密林と言っても要は無人島だ、プラチナランク冒険者まではこんな感じで調査に入って知り尽くされた島の中の魔物を狩り素材を得る。
「いいシステムだな……ま、依頼の魔皮紙は人力で書いてるからこんな事が起こるんだろうけど」
そんなことを言いながら歩いていると草食魔物のメルピグが3匹、岩の苔を貪っている。
見た目は汚いイノシシみたいなもんだ。
「……」
1匹狩るだけでも3日分の食材は手に入るな。
「……」
少し離れてるので3匹とも気付いていない。
「やめとこう」
確かにこの依頼がどれくらい掛かるか解らない。
殺すのにも何も思わない。
生きていくためだからな……
だからこそ、殺すのは今じゃない。
「よっと、そりゃ」
近くにあった石を投げると岩に当たって大きな音が鳴り響き、メルピグは驚いて逃げていった。
「もしも俺が近くを通ってあちらから襲って来たらめんどくさい事になってたからな」
だが自分の過ちに気付くのはそのすぐ後だった。
「あ……」
「ブォゴァァァアル!!!」
グロッグドラゴンは____岩に擬態する。
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