第3話 この世界の説明!


広い廊下を案内役に先導されながらついて行く。


あぁ……見えないエロとはこういうものなのか。

 

毛布一枚で下を考えると……だめだ、今は距離を取ろう……


 

そうしていると俺達は自分の部屋へ案内された。


 

 「……普通だな」



 中はビジネスホテルと同じだ。

 電気のスイッチもある。

 

 「……ふぅ」


 ベッドに横になって考えることも彼女の事だ。


 「名前……聞きたい」


 あぁ……何だこの気持ち。


 「異世界転生って……良いものだな」


 前の世界でこんなに満たされることは無かった。

 周りの色は相変わらず無いが……いや待て?


 「そう言えば、彼女はともかく、あの男の人も色があった」


 タカノリを除いてここに来て2人も色付きが出て来た。

 この意味はまだ解らないが、何かがあると思って間違いないだろう。


 「少なくとも、この世界には俺の生きる目的がある」


 確実に言おう、死んで俺は……救われた!


 「は、はは……こんなに生きるのって楽しいんだな」


 ならやる事は一つだ。


 「この世界をテンプレート通りに従う」


 俺は勇者と呼ばれていた、ならば彼女はヒロインだ。

 

 物語通りにしていけば絶対に結ばれる!



……………………………………



………………………



…………



「やっと来たか……」


 

あれから数時間。

ドアをノックする音が聞こえた。


そして開けると、スタイルの良い眼鏡をかけた騎士の女の人が迎えてくれた。


「待たせて申し訳ありません、少々此方でトラブルがありまして」


「いえ、大丈夫です」


「ありがとうございます、では此方へ」


ついて行くと図書室の様な本がズラリと並ぶ部屋に到着した。


「……」


「どうも」


どうやらもう一人の勇者は最初に呼ばれていたらしい。


これから始まるのはテンプレート通りならこの世界についての基礎知識の説明と言うところか?


「私はあなた達2人にこの世界の基礎知識を教える役目を担いました“タソガレ”と申します、以後お見知り置きを」


予想通りだ。


「まずはお二方の名前を教えてください」


「リュウトです」


「……ヒロユキ」


「了解しました」


タソガレさんはメモを取り出して俺達の名前を書く。

その後にメモは青い炎をまとって燃えてしまった……あれ?そう言えば


「すいません、もう一人の方は?」


彼女が居ない……


「彼女は今手が離せない状況です、なのでまずはお二方に先に案内させていただきました」


「そうですか……」


会えないと思っただけで心が痛くなる。


「では、説明を始めさせていただきます、まずは状況把握として、お二方の魔法の知識はどれほどでしょうか?」


「……」


ふむ、どうやらもう1人の勇者のこの人は無口っぽいな。

俺が質問に答えていく方向だろう。


「魔法というのは俺たちの世界には無かったからいまいちピンと来ない、だけど魔法という存在は本などで広く知られていた」


「なるほど、解りました、ではまず魔法について話しましょう」


そういうと本棚から一冊の本が宙に浮いて俺たちの前に置かれて開かれる。


するとどうだろう、本の文字達が宙に浮いて動き出してまるで映像の様に立体の絵になった。


「この世界の魔法は日常です、それこそ部屋の家具、この施設の建設から食べ物の調理まで、ありとあらゆるものを魔法を使っています」


「はい」


「それと言うのも、人間には魔力が存在しています、いわば歩くエネルギー源、それを効果的に使う方法が魔法なのです……まずはお二人の__」


「魔力量を見るのか?」


「……よく分かりましたね」


テンプレだな。

そして俺の知る限りではその魔道具は壊れる。


「魔力量を見るのはこの“魔皮紙”を使います」


「魔皮紙?」


ほう?その単語は初耳だな?


「魔皮紙というのは魔物の材料で作った紙です、それぞれの魔物の皮、厚さの調整、そして決められた魔法陣、これのどれかが違えば違う物ができるのです、もちろん、研究機関があり日々新しい魔皮紙が生成されています」


「なるほど」


それだけ条件があるのなら可能性は無限大と言ったところか……


「では、どうぞ」


俺たちの前に折り紙ほどの大きさの魔皮紙が置かれる。

手で触った感触は薄い布みたいな感じだ。


何となく魔力を流す様な感覚をすると魔皮紙は一瞬で燃え尽きた。

不思議と熱くなかった。


「……」


どうやらヒロユキさんも成功した様だ、俺と同じ結果になった……てことは__


「そ、そんな!魔皮紙があんな一瞬で!?」


テンプレ通り、タソガレさんは驚いている。


俺たちの魔力が強すぎて予想を遥かに上回った結果だったのだろう。

てことはこの場で言うセリフも決まってる。


「何か問題ありましたかね?」


そう。


特殊な異世界主人公以外、約9割は魔力を確認された後に起きたことを自分が関与してないかの様に問いかける。


こんなの、話の前後で何となく察しがつくのにな……


「あ、あなた方の魔力はこの魔皮紙で測定できないほど強いんです!流石勇者と言うべきでしょうか……」


「は、はぁ……」


とぼけたフリをするのも恥ずかしいな……だけど彼女を手に入れる為ならそんな事もしてみせる!


「ご、ごほん、すいません少し取り乱しました……魔力の方は充分みたいなので此方での生活は支障はないかと思います、ここからは……その……」


なんだ?少し言い辛そうだな?


「__ここからは、私から直接話します」


お?


「お初にお目にかかります勇者様、私はこの国の女王、サクラと申します」


タソガレさんは目を見開いた。


「女王様!?ど、どうしてここに!!」


女王と名乗った彼女の目は“赤く”それ以外は色がなかった。

珍しいパターンだな、色つきと判断していいのか?女王クラスともなると色がつきそうだが目だけか……ん?


「女王?」


王様はロリコンか?

そういうパターンもあるが、女王はテンプレートじゃない事を言って来た。


「はい、国王は先程クーデターの上で死にました、犯人は私です」


「!!!?!?」


な、何を言ってるんだ?


「あなた方に真実を話します」


「真実?」


その瞬間部屋は暗くなり周りの本の全てから光っている文字が巨大なモニターの様になり映像が宙に浮いて映し出される。


「勇者というのは私が産まれる前よりずっと前、勇者召喚が行われた記録があります、何度あったかは記録されておりません」


なるほど、勇者を召喚するのはこれが最初ではないと言うことか、話からしてそんなに頻繁に行われている感じではないのだろう。


「あなた方の世界では魔王という存在はいましたか?」


「いや、居ない、だけど本などではある」


同じ様な質問をされて同じ様なことを答えたのはこの場合仕方ない。


「私達も同じなのです、魔王の存在など遠い昔に封印されていて居ない、伝説や御伽話の世界です」


魔法やファンタジーの世界の人が御伽話と言うと少し違和感があるが此方と相違無い感覚で間違い無いだろう。


「となると、兵器目的か……」


「流石勇者様ですね」


「魔王が居ないのに俺達が呼び出された事、そしてクーデターが起こったわけを考えるとそうかなって」


本当は他にも理由は色々あったがクーデターという事が決め手になり何個かに絞れた。


反応を見る限り当たったみたいだな。


「はい、なので私達は勇者のあなた方に何も求めません、私達の勝手な都合で召喚してしまい申し訳ありませんでした……」


女王が頭を下げると一緒に騎士のタソガレさんも頭を下げる。


先程女王になったとはいえ今はこの国の王だ。


その意味、重さを知らないわけじゃないだろう……国の王に頭を下げられたんだ、文句は言えない。


「……頭を上げてください」


さて、テンプレートじゃないこの状況。

どうやって戻すか……


よし


「僕達はまだ来て時間が経ってませんので正しい判断が出来るか解りません、なのでアナタがこれからどんな風になるのか、この世界で生きながら見ていきます」


こう言っとけばこの場は収まる。


「ありがとうございます、今後の生活では王宮側からも全力でサポートさせていただきます」


「ありがとうございます」


「では、タソガレ、この方たちには生活に必要最低限の事だけ教えてください、そして希望があればその希望に沿う様に手続きを」


「分かりました」


こうして俺達は今後、応急からのサポートありでこの世界を生きることになった。



それにしても、実の父親を殺したのに全く動揺していなかったな……やっぱり色付きは何かあるな……





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