第八夜洞穴(ほらあな)

窓があるのに中身があるのに

ないみたい。


口があって

目があって

鼻があって

ここでこうして話していたはずの

人を見る私も

口を開け、目を見開き

だけども、息を止め

ポカンと覗く闇を覗いて

音も出ない


言葉が消えた、白い世界から

帰って来ても

パクパクと。

出るは喘ぐ、金魚のように

空気ばかり、また、ないみたい。


いるのに、

いない、洞穴は

まだこんなにあたたかいのにね。


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