その子は哀れな

『この話は昔、親から聞いた話なのですが――』




 ある子は親からの絶対の呪で呪われて、それを自覚した時に暴走状態になって親に呪詛返しをしたんだって。

 でも、その子は呪について親から学んでいなかったから暴走状態になってしまって対象の指定も不完全で根源ごと全てを呪ってしまったんだって。

 親は才能が無くてそのまま不完全な呪でも呪われて破滅に向かったんだとか。

 それでも暴走状態が終わった後は根源である神への絶望と混沌に囚われてしまって自滅に向かいそうだったので、忘却を施して心が癒えるまで遠ざけられたらしいんだけど、今度は術の指定が不完全だった弊害が出てしまったんだって。

 話によると、根源ごと呪ってしまった事で根源そのものは呪うには不完全だったけど、その子の体は無意識のうちに根源の側には行かないように体の成長が歪になってしまって故郷に帰ってきたんだって。

 結局、土地の神様に挨拶をして赦しを乞い名前を改めて神社の参道を出たところでその地の認識として生まれ直した扱いで親からの呪いから解放され自身の呪詛返しそのものも無くなったけど、今まで成長しなかった体が成長する揺り戻しで倒れてしまって暫く入院してしまったんだって。

 戻ってきた彼女は神社にまつろう娘として遣えるようになったとか。


『もし彼女が全てに絶望したら程度こそ異なれど厄災になっていたんでしょうか……?』

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