人間の闇に潜む者

 とある子供は生まれた時から痛覚が恐ろしく鈍かった。


 父親はそれを憂い体の稼働や損傷等を確認する方法を教え外傷の応急処置の方法も授けた。

 防御や受け身の方法を教えそれが両親の愛でもあった。


 だが、幸せな時間は続かず家族三人で出掛けた際に事故に巻き込まれてしまった。

 痛覚が恐ろしく鈍かった子供だけがショック死せずに生き残り母方の親戚に引き取られた。


 親戚は生き残った子供の亡き両親が遺していた物を全て奪い子供には拳と暴言だけを与えた。

 子供は痛覚が恐ろしく鈍く防御の方法も習得していた為、致命的な怪我は負わず生き抜き歪な成長を遂げた。


 子供は子供であれど恐ろしく大きくなり居場所も無く、地獄を覗き見してそこに入り込むようになった。

 やがて子供は獄卒の一人となり血の池のある地獄に入り浸るようになり、血の池に浸り親戚を纏めて血の池に沈めてから色々な人間じんかんの地獄を転々とするようになった。


 そして嘗ての子供はとんでもない化け物に成長し殺しても死なない「人間社会の闇に潜む鬼」として永く厄災のように囁かれるようになったのだった。

 

 

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