とある先生の講義

『大学のミーハーな友人Aから聞いたんだけど――』



 まずAは選択必修科目のコマは大体見終えて、単位数的に自由科目をどうしようか悩んでた時に友人から話しかけられたそうです。


「ねー、聞いたー?」

「何のこと?」

「考古学と民俗学の先生、凄いイケメンらしいよー」


 Aの友人は考古学と民俗学の先生がイケメンだと言うことを先輩から聞いてたらしく、Aは友人に暇なら見に行かないかと誘われたそうです。


「え、マジ?講義見に行こう!何限目だっけ?かち合ってるなら途中抜けしよ――」

「えーと――」


 結果的に因みにニつの講義は時間は被っておらず、どちらの講義も女子学生の割合が多かったらしいです。


 『民俗学』の講義は一般教養枠で学生なら自由に取得可能の講義のため広い講義室でやってたらしいです。

 チャイムが鳴る前に学生と見分けがつかない様な若さの色白のクールで凄いイケメンがそれなりの荷物を持って教壇まで歩いて来て机に荷物を置いたそうです。

 すると一部の女子学生がざわめき出し、先生であろうイケメンに話しかけに行って塩対応を喰らいながらも気にせず話しかけてたらしいです。

 話しかけられたイケメンは話しかけてる女子学生を横目に講義で配るであろうレジュメを出したり準備をしていたそうです。

 そして、チャイムが鳴った途端、青年がパンと一度だけ手を叩いて大きな音を鳴らしたそうです。

 するとしーん、と講義室は静かになって、友人はどこか空気が少しひんやりとして澄んだように感じて、あれ? と思ったようです。

 因みに他にも何人か同じ理由できょとんとしてたらしいです。

 そしてイケメンはマイクのスイッチを入れ講義を始めたそうです。


「初めまして、僕は祝銀嶺ほうりぎんれい。この講義では『民俗学A』の文字通り、民俗学をやっていくよ」


 銀嶺と名乗ったイケメン先生は人を魅了するイイ声で語り、民俗学と大きく黒板に書いてたそうです。


「会話については周りの迷惑になる程に大きな声で話し込まない事と僕は忠告をするよ」


 小声で話す分には黙認するようでおそらく騒いだら普通に怒られるみたいでした。


「民俗学とはどんな学問か、と問われたら君達はどのようなことを知っているかい?」


 答えられる人は挙手してくれ、と言いイケメンは学生の席の方を見て、マイクを持って段差を降りて移動したそうです。


「では一番前の右端のきみ、答えてくれ。」

「え、えーと……昔の人の暮らしとか習慣を調べたりするんでしたっけ?」


 マイクを向けられ解答を求められた人は自信なさげに震え声で答えてたそうです。


「素晴らしい、正解だ」


 解答に対して銀嶺先生は喜び、美貌の脅威度が上がった素敵な笑顔を見せていたそうです。


「民俗学は人がどうやって暮らしているのかを探究する学問の一つだ」


 そうやって銀嶺先生は人を魅せる声で講義は進行していき、結果Aとその友人は『民俗学A』の講義を履修することにしたそうです。


 銀嶺先生の『民俗学A』の講義はあくまで『民俗学とはどのような学問なのかを知ってもらう』と言うコンセプトが強いらしく、他の先生の講義よりも丁寧で、難易度も低めな講義だったそうです。

 銀嶺先生は確かにイケメンの先生だったけど、どこか独特な雰囲気があったそうで、それはそれは魅力的ではあったそうです。ですが、ガチ恋みたいな惚れるとかそういう類いではなく、崇高な存在みたいな憧れに近い感情を持ちAとその友人も不思議に思ったようです。



 

『結局年度の後半には『民俗学B』まで履修したA曰くこの先生は面倒見が良く意外と優しいけどキレると怖いタイプだと言ってました。講義中何があったんでしょうかね?』

 





『祝銀嶺の民俗学 』で同じ流れの第三者視点が見られます。https://kakuyomu.jp/works/16818093080212586658

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