隠守の織姫様


 私の母の育った村では神社に祀られていた織姫様に七夕の日に規定の布にまだ一度も奉納してない子供が蝶々の刺繍を縫って奉納すると言うお祭りがあったんだって。

 他にもやる事は色々あるし、皆で集ってご飯を食べたり昔は行商人とやり取りしたりする行事だったんだけど今は子供がほとんど居なくなって、機織をしてる家も殆ど無くなったらしいの。

 最近は針仕事が上手くなったり手が器用に動いたりするとかって言うご利益があると謡って近隣集落や村を訪れた人に蝶々の刺繍を縫って貰って、どうにか続けてきたんだって。



 でもある年の七夕の日にお祭りを巫を害しダメにされて、ダメにした人は目覚め怒り狂う織姫様に森へと連れ去られて行方不明になってしまったんだって。

 その人は依代の巫に手を出して織姫様を怒らせて鬼蜘蛛を目覚めさせてしまったとか。

 その後から蜘蛛が姿を隠して虫害が増えて村の人達は困っていたらしいよ。



 村の人達は自業自得だと誰も探しに行こうとは思わず、行方不明者の身内から派遣された力のある巫覡がやってきて、その人は行方不明者を三日後に発見して連れ戻したとか。

 見つかった行方不明者はかなり衰弱していて暫く入院して点滴を打つ羽目になり、見つけて連れ戻した巫覡もたくさんの怪我をして軽く処置が行われたんだって。

 その後、連れ戻した巫覡がお社の改修工事を計画しダメにした人とその親族に色々と金を出させ、白妙の羽衣と蝶々の刺繍を奉納して手打ちにしたらしいよ。


 目覚めた織姫様は巫と共に居るようになって、色々な場所を巡る事を楽しむようになったんだって。

 織姫様の巫は外の世界を見て村を持続させること、観光資源やお祭りイベント等色々考えて勉強するようと織姫様に指示をされ外での見聞を深めて織姫様が気に入る婿も探しに外で勉強するようになったそうだ。

 蜘蛛は探せばどこかしらにまた出てくるようになったそうです。



 

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