第3話  先生

AB「はい、どうも~♪」

A「最近、先生も体罰を与えられないんですね」

B「もう、問題になるからね」

A「昭和の時代はすごかったで」

B「体罰なんか、当たり前やったよな」

A「僕、小学校の1年生やった時」

B「何があったん?」

A「親同士の付き合いで〇〇君と遊びなさいってお袋に言われた」

B「ああ、あるなぁ、そういうこと」

A「僕、〇〇君が嫌いやったし、〇〇君はいじめられっ子や」

B「下手に友達になると、こっちまでいじめられるねん」

A「先生に相談したわ。〇〇君と遊ばなくていいようにお袋を説得してくれって」

B「そう言うてもしゃあない、嫌いやねんから」

A「ほな、“君が遊んであげないと、〇〇君が独りぼっちになっちゃうよ”って。知るか! って感じ」

B「場を丸く収めようとしたんやな」

A「その場しのぎの言葉で丸め込もうとしやがって、小学1年生を舐めるな!」

B「そんな小学1年生も嫌やけど」

A「ほんで、3年生の時や」

B「思い出多いな」

A「5年生の先輩が僕達下級生をいじめるねん」

B「よくあることやな」

A「ほんなら次の日、学級会や。進行は委員長の僕や」

B「どうせ、みんなで戦おうとか」

A「そうそう、みんなで立ち向かえって話になったんやけど」

B「まあ、そうなるやろなぁ」

A「先生、僕に聞くんや。君は何をやってたの?って」

B「何やってたん?」

A「何もしてへん。僕、直接何もされへんかったもん」

B「ほな、先生はなんて?」

A「“先生は悲しい、もっと腕白な方が好きやわ”って」

B「ほな、腕白になれや!」

A「腕白になったわ、授業中も大騒ぎや」

B「ほんなら?」

A「廊下に立たされたわ、両手にバケツや」

B「両手にバケツっていうのが漫画みたいやな」

A「バケツの水を全部捨てて、空のバケツを持って立ってたわ」

B「おう、やったれ、やったれ」

A「ほな、先生が泣いたわ」

B「なんで泣くの?」

A「“そこまで腕白にならんでもええ”って。だから、言うたったわ」

B「なんて言うたん?」

A「先生、泣いても許されませんよ。僕も悲しいって言われた時は傷ついたんや!」

B「そこまで言うのもどうかなぁ」

A「小学3年生を舐めるな! ちゅうねん」

B「そんな小学3年生も嫌やけど」

A「ほんで、小学5年生は、何でもビンタで解決するお兄ちゃんや」

B「やっぱり殴られるよなぁ」

A「或る日、4人並んで、パン、パン、パン、パンパン!」

B「2回殴られてるやんか」

A「最後の僕だけ往復ビンタや」

B「悪意を感じるな」

A「その先生に反発する女子がおったんや」

B「あるなぁ」

A「“その子が謝るまで、クラス全員を家に帰らせへん”って言い出して」

B「それはアカンやろ」

A「“先生、これは脅迫やで”って言ったらビンタされたわ」

B「徹底してるな」

A「“先生、この子が泣いて終わりのパターンやで”って言ったらまたビンタや」

B「ほんで? その子は泣いたやろ?」

A「泣いた、泣いた、それで先生が慌てて解散になったわ」

B「やっぱり。そんなん、やる前からわかってるやろ」

A「ほんで、中学や」

B「中学も体罰はあったなぁ」

A「ウチのクラスの担任、関節技で2人脱臼させてたわ」

B「まあ、そういうことで」

A「僕等は体罰で大きくなりました」

B「今なら大問題。もうええわ~♪」







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