第112話 捨てられ王子、個性を見出だす





「貴女が女神様の妹さん、ですか?」


「ふひ、そ、そうだよ。は、はじめまして、レイシェル様」



 ようやく辿り着いた最下層。


 そこは狭くて薄暗く、湿気もあってか洞窟のようなじめじめした場所だった。

 今まで通ってきたどの階層よりも冥界っぽさを感じられる。


 そして、俺の目の前にはアルカリオン並みの身長とおっぱいをお持ちの女が立っていた。


 床まで届く長い黒髪は所々に白のメッシュが入っており、血のような濃い赤色の瞳が片方だけ隠れている。


 猫背のせいか、どことなく陰鬱な雰囲気だ。


 笑うと見えるギザ歯はとても鋭そうで、少し不気味な印象を受ける。


 しかし、やはり女神様の妹。


 不気味ではあるが、顔立ちは人形のように恐ろしく整っていた。



「……ごくり」



 再度言うが、女神様の妹はアルカリオン並みの身長と大きなおっぱいをお持ちだった。


 幻の世界とは言え、さっきまでヤりまくってたのに下半身の愛刀レーダーがビンビンに反応してしまう。


 こういう雰囲気の女の人とはあまり会ったことがないからだろうか。


 なんかこう、いい。とてもいい。



「あっ……。ふひ、ひひひ、わ、わたしみたいな根暗な女でも、そこ大きくしちゃうんだね。レイシェル様は」


「あ、すみません。……って、様? それに俺の名前、知ってるんですか?」


「う、うん。い、いつも見てたから」


「いつも見てた? 俺を?」


「そ、そうだよ。ふひ、い、いつも、君がこの世界に転生してから、ずっと」



 ちょっと怖いこと言い始めたぞ。



「あ゛~、生で見るとやっぱりいいなァ。かわいい。めちゃくちゃにしたい……」


「え、ええと?」


「あ、ご、ごめんね。気持ち悪いよね。ふひ、じ、実は君が女の子とエッチしてるところ、前から覗き見してたんだ。それ見ながら一人で慰めて、き、気持ちよくなって、仕事も手につかなくなって……あ、な、なんでもない。今のは忘れて」



 俺はローズパパの言っていたことを思い出す。


 冥界神がやる気を失くしているから冥界の魂が滞っている、と。


 もしかしなくても、その原因って俺?


 女神様の妹さんが俺のファンみたいなもので、ずっと見てたとかそういう感じ?


 なんだろう。嬉しいような、怖いような……。



「あ、わ、わたしの名前、シストレアって言うの。も、もしよかったら、名前で呼んでほしいなって。あ、や、やっぱりキモイかな。ふひ」


「あ、いえ、そんなことは。シストレア、様?」


「――っ♡♡♡♡」



 俺が女神様の妹、シストレアを名前で呼んだ次の瞬間だった。


 シストレアが顔を赤くして、へらっと笑う。



「あっ♡ あっ♡ あっ♡ な、名前っ♡ レイシェル様がわたしみたいな姉さんの搾りカス女神を名前でっ♡ う、嬉しいっ♡ 死ぬっ♡ 幸せで脳が沸騰すりゅ♡ こ、これ一人でシてる時より気持ちいいっ♡」



 その場でビクンッと身体を痙攣させて頂きへと至るシストレア。


 端から見れば完全にヤバイ女だ。


 いや、俺がエッチしてる様子を覗き見して一人でシてたって言ってたし、実際にかなりヤバイ女なのだろう。


 しかし、少し身を捩っただけで『ぶるるんっ♡』と揺れるおっぱいを見ると……。


 まあ、それも立派な個性だよな!!



「あのー、実はお願いがありまして」


「ふひ、あ、う、うん。姪っ子――アルカリオンちゃんの娘さんを生き返らせたいんだよね?」


「は、はい!! お願いします、ローズマリーを生き返らせてください!!」


「ふひ、も、もちろん、レイシェル様のお願いなら何でも叶えるよっ♡ そ、その、その代わり条件があって」



 じょ、条件?



「条件って言うのは……」


「む、難しいことじゃないよ、ふひっ♡ わ、わたしも他の女の子みたいに抱いてほしいなーって♡」


「……は?」



 一瞬何を言っているのか分からなかったが、すぐに理解して下半身が熱くなる。


 絶対に手を出したらヤバイだろう。


 頭では分かっていても、それを下半身が拒否している。


 すると、俺が返答に困っていることを察したのか、シストレアは急に卑屈な笑みを浮かべて言った。



「あ、ご、ごめんね♡ わ、わたしみたいな根暗が生意気だよね、ご、ごめんなさい♡ 嫌いにならないでっ♡ 許してください、お願いしますっ♡」


「すぅー、はぁー」



 あ、ヤバイ。めっちゃ嗜虐心を煽られる。


 こうも卑屈な態度を取られると、まるで自分が上に立っているかのような錯覚に陥ってしまう。


 普段は責められる側の俺。


 しかし、幻の世界でローズマリーたちを相手に責める側の快感を味わったからだろうか。


 目の前の美女を責めたくなってしまった。



「と、とんでもない変態だな」


「っ♡ は、はひっ♡ へ、変態ですみませんっ♡ 生きててすみませんっ♡」


「ちゃ、ちゃんと約束は守れよ?」



 俺が少し強気な態度を見せて手を出そうとした、まさにその時だった。



「こーら、シストレア!! お部屋のお片付けしなさいって言ったでしょ!?」


「へぁ!?」


「……え?」



 どこからか見覚えのある女性が姿を現した。


 数十年ぶりに聞く声は、最後に聞いた時よりも気力に満ちている。


 俺と同じ灰色の髪、灰色の瞳の美女。


 メリハリのある抜群のプロポーションは男の視線を自然と集めることだろう。



「は、母上!?」


「あら? もしかして……レイシェル?」



 こうして俺は母親と再会したのであった。






―――――――――――――――――――――

あとがき

どうでもいい小話


作者「覗き魔系長身爆乳根暗ギザ歯片メカクレ……久しぶりに盛った」


レ「素晴らしい、そう思った奴は手を挙げなさい」



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