第108話 捨てられ王子、屈しない
まず状況を整理しよう。
目が覚めたら俺は前世の家にいて、何故かセーラー服を着たローズマリーやアルカリオンと同棲している。
アルカリオンに関してはメイドリオンと分身して行動できるようだ。
つまり、俺の知っている二人と全く同じ。
もしかしたら偽物という可能性もなくはないが、そこは改めて試せば分かる。
「ど、どうしたのだ、レイシェル? 何かおかしなものでも食べたのか?」
「坊やは今日、私と一日中子作りエッチしていたので変なものを食べる暇はありませんでしたよ」
「は、母上、そういう意味では……」
「な、なあ、二人とも」
俺は他愛ない話で盛り上がっている二人の間に割って入り、声をかけた。
「なんだ? 具合が悪いなら早く言うんだぞ」
「坊や、悩み事があれば私が全身全霊をもって解決しますよ」
心強い二人の言葉を聞き、俺は悩まず即座に行動した。
二人のおっぱいを揉みしだく。
エッチしてた時も違和感はなかったが、改めて揉むと柔らかさも大きさも本人のもので間違いないと思う。
「ひゃんっ♡ レ、レイシェル、いきなり何をするっ♡」
「坊やはまだまだ満足できていなかったのですね。今度こそ坊やが満足できるよう、私と子作りしましょう」
「は、母上!! レイシェルを独り占めするのはやめてください!!」
「ローズマリー。弟と妹、どちらが欲しいですか?」
二人の大きなおっぱいに両側から挟まれて、全身を責め立てられる。
気持ちいい。やはり間違いない。
この二人のテクニックは俺の知る二人と全く同じ技量だった。
この場にいるローズマリーとアルカリオンは本物と断言していいだろう。
しかし、そうだとするとますます分からない。
ここが冥界の下層というのは分かるが、何がどうして二人が目の前にいるのか。
どうやって最下層へ向かうのかが不明だ。
「ちょ、ふ、二人とも、エッチの途中で悪いんだけどさ」
分からないことは素直に聞く。
目の前のローズマリーとアルカリオンが答えを知っているとは限らないが、何らかのヒントは得られるかも知れない。
そう思って二人に問いかけるのが間違いだったと気付いたのは、すぐだった。
「どうやったら下層を出て最下層に行けると思う?」
「「……」」
二人の動きがピタッと止まった。
そして、優しく甘やかすような手つきが急に激しく乱暴になる。
凄まじい快楽が襲ってきた。
ローズマリーとアルカリオンが両側から俺の手足をガッチリ拘束し、脳に染み込むような甘い声で囁きかけてくる。
「ここから出ていく必要などないぞ?」
「そうですよ、坊や。ここには坊やの望む全てがあります。坊やの愛しい女性たちがただ坊やだけを愛して暮らしている世界です」
「それどころか、ここならレイシェルのいた世界の美しい女たちも手を出し放題だからな」
「坊やのための坊やだけの世界です。ずっとここにいてください」
「あ、ちょ、ま、待って、分かったから一旦手を止めて――」
様子のおかしい二人から、拷問にも近い濃密な責めが始まってしまった。
普段ならご褒美だと喜ぶのだが……。
何故か今回に限っては素直に喜ぶことができなかった。
あまりの快楽に俺はギブアップを宣言するが、二人は尚も容赦なく俺を両側、あるいは前後から責め立ててくる。
快楽を少しでも逃がそうと俺は身体を暴れさせるが、力で二人に敵うわけがない。
俺の愛刀か壊れそうなほど気持ちよかった。
「ちょ、ごめん!! 俺が悪かったから、一旦やめ――」
「いいや、ダメだ。お前が二度とここから出ていくなんて言わないように徹底的に躾けてやる」
「坊や、これはママからのお仕置きです」
それから一週間ほど、二人は俺にお仕置きエッチしてきた。
俺は二人の責めに屈して敗北を宣言する。
「ご、ごめん、二人とも。もう出ていくとか言わないから許して……」
「ふふ。それでいいんだ、レイシェル。ここなら皆が一緒にいられるからな」
「坊やはここで私たちと幸せに暮らすのですよ」
優しく微笑むローズマリーと、無表情ながら愛おしいものを撫でるように俺の頭をナデナデするアルカリオン。
どう見ても俺の知る二人だが、明らかに俺の知る二人とは違う。
でも姿はもちろん、言動や性格、エッチ中の癖やテクニックの上手さなど、本人としか思えない部分もある。
俺は不安を抱えながら今度は二人と甘々ハーレムエッチして過ごすのであった。
翌日。
俺はローズマリーと共にアルカリオンが理事長を勤める学校へと向かった。
敗北宣言はしたが、やはり諦められない。
あれから何度も二人と肌を重ねて確認したが、やはりあのローズマリーたちは何となく本物ではない気がする。
かといって偽物でもなさそうだが……。
とにかく俺は下層脱出を目指して探索範囲を拡大することにした。
久しぶりにローズマリーに会えたのは嬉しいが、俺が会いたいのは生きている本物のローズマリーだ。
何よりローズやクーファと合流せねば。
俺は少しでもヒントを得るため、学校までやってきたのだが……。
「お、おお、ここが俺の通ってる学校か」
電車やバスを幾つか乗り継いでやってきた学校の校舎は、前世で俺が通っていた高校のものと非常に酷似していた。
異なるのはその生徒だろう。
前世の学校は普通に男女共学だったが、ここは俺以外に男がいない。
抱いたことのある生徒や見覚えのある生徒もいれば、前世で好きだったアイドルとよく似ている生徒もいた。
全員容姿端麗な美女ばかりだった。
「……ごくり」
俺が何も知らなかったら、ここは理想郷に見えたかもしれないな。
しかし、誘惑には屈しない。
俺は意を決して、どこか懐かしさを感じさせる学校の門を潜る。
そう、俺は覚悟したのだ。
だからこの大きくなっている下半身は、決して期待しているからではない。
……ないったらない。
―――――――――――――――――――――
あとがき
どうでもいい小話
作者「この主人公ほど誘惑に屈しないという言葉が信用ならない奴はいない」
レ「酷い言われ様……」
作者「いよいよ二日後に『捨てられ王子が最前線で敵国の兵士を治療したら第七皇女だった件』の書籍第一巻が発売です。書き下ろしSSもあるので是非。是非買ってください。買ってください(大事なことなので二回言った)」
「美女にサンドイッチされたい」「男の敗北宣言は需要ない」「言われても仕方ない」と思った方は、感想、ブックマーク、★評価、レビューをよろしくお願いします。
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