第90話 捨てられ王子、イチャラブデートする⑥






「妾、心から旦那様をお待ちしておりましたわ!!」


「邪魔するよ、トモエ」



 俺たちはトモエ率いる鬼人たちが住まう森にまでやってきた。

 鬼人たちは今、俺のハーレム街の外れにある小さな森に集落を作って暮らしている。


 どうして森に集落なのか。


 人を襲わないとトモエは誓ったし、そのトモエを慕って付いてきたイバラを始めとした女鬼人たちもその誓いを守るつもりでいる。


 でも実際、鬼人がアシュハラの国民を襲っていたのは変えられない事実。


 ミタマは気にしなくていいと言っていたが、トモエ自身が丁重に断り、森で少数の仲間と暮らすことを選択した。


 今日はその様子見を兼ねての視察だ。


 そう、昨日も一昨日もエッチしまくっていたが、本来の目的は視察である。


 今日は流されないぞ。



「調子はどう?」


「はい♡ 旦那様に会えない日々の寂しさを紛らわせるため、妾は自らの身体を日夜慰めております♡」


「そ、そうじゃなくて。あとごめんね、暇な時は会いに来るから」


「いえ♡ 旦那様を想ってする自慰が一番気持ちいいのでお構いなく♡」



 くっ、トモエが可愛い。



「何か困ってることはない? 足りないものがあったら言ってくれ」


「今のところは……あぁ、そうですわ。妾ではなく、配下のスズに悩みがあるようでして」



 スズというのはトモエの配下の一人であり、身長が30メートルはある身長もおっぱいもでっかいギャル鬼っ娘である。


 おっぱいに全身を挟まれたことがあるが、あれは最高だった。


 実は俺は鬼ヶ島から救出された後、ドタバタして鬼人たちと話す時間をあまり取ることができていなかった。


 可能ならもっとスズのおっぱいにぱふぱふされたかったというのが本音だ。



「レイシェル」


「っ、な、何? ローズマリー?」


「……いや、何でもない」



 俺は思わずローズマリーのどこか鋭い視線に身体を震わせてしまう。


 そ、そうだよな。


 昨日は許してくれたけど、何日も連続して他の女の子とエッチなことするのは良くないよな。


 俺は思考を切り替え、トモエにスズを呼んでもらい、エロいことは考えないで彼女の悩みについて聞くことにした。



「――着れる服がない、か」


「そ。あーし、身体がデカイじゃん? お洒落な服とかあっても着れなくてさー。ちょっと鬱」



 トモエに呼ばれてやってきたスズは、肩に付き添いのイバラを乗せて膝を抱えながら言った。



「うーむ、たしかに着たい服を着れないのは嫌だよな。……服をオーダーメイドするとか?」


「あーしもそう思ったんだけど、オーダーメイドは高いじゃん? だからイバラと一緒に森に住んでる魔獣を狩ってお金にしようと思ったんだけど……」


「スズはこの巨体やから、機敏に動く魔獣は狩れへんのやわあ」


「な、なるほど」



 好きな服を着るにはオーダーメイド、オーダーメイドにはお金が必要。

 でもそのお金を稼ぐための魔獣狩りが上手く行かない、と。


 うーむ。

 俺がお金を立て替えてアラクネの皆に作ってもらうという手もあるっちゃある。


 でもスズ本人はそれを望まないらしい。



「レイち、何かこう、狩りが上手くなるコツとか知らない!?」


「俺は箱入りだからな……」



 アガーラム王国時代に食料確保のために最前線で獣を狩ったことはあったが、俺は部下の後ろで応援してただけだからな。


 どうせなら専門家を招きたいが、狩猟の心得がある者など知り合いにいない。


 俺は助けを求めてローズマリーの方を見るが、生憎と彼女にも上手い解決策は思い浮かばなかったようだ。


 と思ったら、その隣にいたアルカリオンが静かに手を上げる。


 心当たりがあるようだ。



「坊や。一人、思い当たる人物がいますね」


「え?」



 それからアルカリオンが、ある人物を鬼人の集落に招いた。



「あ、あの、レイシェルさまがお呼びとのことで参上しました」


「ラピ? え、アルカリオン、ラピが狩猟とかするの?」


「はい。兎人族は狩猟民族ですよ」



 え、兎なのに!?


 話を聞いたところ、兎人族は森の中でも足が速く、気配を隠すのが上手いらしい。


 たしかに狩りには向いてそうではあるが……。



「……何事も相談すべきだよな」



 俺は諸々の事情を話し、ラピに狩りのコツを伝授してもらえるよう協力を求めた。


 すると、ラピから返ってきた返事は……。



「いえ、その、申し訳ないのですが、無理ですね」


「ええ!? なんで!? あーし、やる気だけはあるよ!?」


「やる気はあっても、物理的に無理というか……。狩りの基本は気配を隠すことです。スズさんの場合は気配を隠せてもサイズ的に見つかります」


「そ、そっかー」



 ですが、とラピは続ける。



「何も狩猟に拘らずとも、他のことでお金を稼げばいいのでは?」


「「「「「え?」」」」」


「例えば、建築関係とか。重たい資材を持ち上げるだけでも、大工の皆さんは助かると思います。ワイバーンや地竜よりも正確な作業ができるでしょうし」


「「「「「あっ」」」」」


「ラピち天才!! その発想は無かった!!」



 俺も含め、誰もその可能性に至らなかったのは偶然だと思うことにしよう。


 改めてラピにお礼を言う。

 


「ラピ、助かったよ。ありがとな」


「……レイシェルさまのお役に立てて何よりです。あ、あの、レイシェルさま、お願いがあります」


「ん? なんだ?」



 ラピが頬を赤らめて、恥ずかしそうに言った。



「キンコさんから聞きました。昨日、レイシェルさまに可愛がっていただいたと」


「え?」


「ラピだけ仲間外れは寂しいです♡」


「っ、ちょ、ラピ!?」


「まあ!! ラピ様だけずるいですわ!! 妾も可愛がってくださいませ、旦那様!!」



 ラピとトモエが同時に迫ってきた。


 ロリっ娘が二人揃って密着してきて、体温が伝わってくる。


 二人とも体温が高く、温かい。



「……ごくり」



 改めて分かったことがある。


 ロリっ娘は脚がムチムチでエッチな太ももをしているということだ。



「あれま、トモエ様ったらはしたないわあ」


「いいなー。あーしもレイちとエッチしたーい」


「スズは身体のサイズ的に無理や、諦めた方がええよ」


「む、そんなことないもん」



 俺は抵抗しようとするも、何故か参戦してきたスズに取り押さえられ、ラピにもトモエにも犯されてしまうのであった。


 ……その傍らで。



「イバラ殿は混ざらなくとも良いのか?」


「うちはトモエ様一筋やさかい、遠慮しとくわあ」


「本音は?」


「お兄はんが疲れ果てたところを責め立てたら楽しそう思うて」


「……そうか」



 ローズマリーは少し悶々とした様子で、犯される俺を眺め、アルカリオンはそんなローズマリーを無言で見つめているのであった。

 







―――――――――――――――――――――

あとがき

どうでもよくない話


作者「一話飛ばしていることに気付いた今日この頃。申し訳ない」


レ「切腹切腹」



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