第87話 捨てられ王子、イチャラブデートする③
「皆様、ようこそおいでくださいました」
俺は赤ちゃんプレイを中断し、アルカリオンとローズマリーの三人でラミアの酒蔵にやってきた。
迎えるのはラミアの女王、ミカエラだ。
相変わらずおっぱいが大きくて目のやり場に困る民族衣装を身にまとっている。
「調子はどう、ミカエラ?」
「レイシェル様のお陰で素晴らしいお酒を作ることができました」
お酒を作るにあたり、俺は商人のルシャーナにお願いして必要なものを揃えてもらった。
しかし、まだ一ヶ月くらいしか経ってない。
俺はお酒の作り方など知らないが、こうも短い期間で作れるものではないはず。
という俺の疑問はすぐ解消した。
なんか魔法を使って環境を整えることで発酵を促進しているとか。
この世界、魔法があるから変なところで地球のテクノロジーを上回ってるよなあ。
と、呑気に考えていると。
「もしよろしければ、皆様で試飲なさってください」
「む、私と母上もいいのか?」
「はい!! 是非!!」
というわけで皆でラミアたちの作ったお酒を試飲することになったのだが……。
正直、俺にはお酒の良し悪しが分からない。
何より解決しがたい重大な問題があり、俺は酒を飲めないのだ。
申し訳ないが、お断りしよう。
「お、俺は遠慮しておこうかな」
「あら……それは残念です」
目に見えてしょんぼりするミカエラ。
ぐっ、ミカエラを悲しませたくはないが、今回ばかりはどうしようもない。
俺だって本当は飲みたいのだ。
でも少なくとも、日中は飲んではならない。それにはしっかりと理由がある。
言い訳がましいが、ここは話しておこう。
「実は俺、酒癖が悪いんだ」
これはまだ俺が最前線にいた頃の話。
部下に誘われてお酒を飲んだら、それはもう大変だったとのこと。
ああ、ちなみに俺は何も覚えていない。
でも部下たちの話によると、俺は真っ裸になって女性兵士にお触りしまくったりした挙げ句、誰彼構わず抱きついたらしい。
二度と酒を飲むな、と色々な人に叱られた。
あと一部の男性兵士がそっちの気に目覚めたとか何とか。
俺は顔がいいからな。……そっちの気はないが。
俺に近づこうとする男は部下たちが徹底的に排除したそうなので、何か実害があったわけではないが、大勢の者に迷惑をかけたのは事実。
だから俺は酒を飲まないようにしている。
という旨を正直にローズマリーたちに話してみたのだが……。
「ははは、小さな器一杯くらいで酔うわけがないだろう。それに、レイシェルの場合はいざとなったら自分で治せばいいではないか」
ローズマリーは気にするな、と笑った。
ぶっちゃけ俺も部下たちが多少は話を盛ったとは思っている。
しかし、不安なのもまた事実。
「……よし。じゃあ、俺が変なことしそうになったらローズマリーが止めてくれる?」
「そ、そこまで心配なのか? まあ、分かった」
俺はミカエラから小さな器を受け取り、柄杓で樽から酒を掬う。
一見すると透明な水。
いわゆる清酒で、結構酒精の強そうな匂いが鼻を刺激した。
こくりと一杯飲み干す。
「んぐっ、ぷはあ」
思った通り、かなり強めのお酒だった。
お酒を飲み干した瞬間、頭の中がふわっとして途端に思考ができなくなってしまう。
身体が熱くなり、着ている服が無性に鬱陶しく感じられる。
「……熱い……」
「レイシェル? ちょ、ま、待て!! 服を脱ぐな!!」
「……やだ。熱いもん」
ローズマリーは慌てて止めようとしたが、俺が服を脱ぐ方が早い。
火照った身体が冷える。
ローズマリーは俺を見てあたふたしており、服を着せようとしてくるが……。
俺はそんなローズマリーの豊満で柔らかい身体に抱きついて、大きなおっぱいに顔を埋めて大きく息を吸う。
「すぅー、はぁー、ローズマリーの良い匂いがする……」
「んっ♡ こ、こらっ、変なところを触るな♡」
ローズマリーのおっぱいは最高だ。
かなり弾力があって、少し強めに揉むと反発する力も強い。
それでいて形も美しい。
……そう言えば、女性は産まれてくる赤ん坊のために妊娠するとおっぱいが大きくなると聞いたことがある。
注意深く揉みしだいたみると、たしかにバストサイズがアップしているような気がした。
このおっぱいが、いつかは赤ん坊のために……。
「やだやだ!! ローズマリーのおっぱいは俺のもの!!」
「!? いや、私の胸は私のものだぞ!?」
「やーだー!! 俺のものー!!」
と、その時だった。
アルカリオンが俺を抱き寄せ、俺をローズマリーよりも更に自らの大きなおっぱいに埋めさせた。
「坊や。私のおっぱいは坊やのものですので、好きにしていいですよ」
「やったー!! アルカリオンのおっぱい好き!!」
「な、母上!?」
「坊やはローズマリーのおっぱいよりも私のおっぱいの方が好きなようです」
そう言って俺の頭を撫で回すアルカリオン。
「母上はレイシェルを甘やかしすぎです!!」
「夫を甘やかして癒すのは妻の役目。むしろ間違っているのはローズマリーでは?」
「ぐっ、い、いや、そんなことは……」
ローズマリーがアルカリオンのおっぱいに溺れる俺を見て歯噛みする。
そして、何かが吹っ切れたのか。
「おい、レイシェル。こっちにもお前のおっぱいがあるぞ。母上にばかり甘えるな!!」
頬を膨らませたローズマリーがアルカリオンから俺を奪い取り、抱き寄せた。
そして、自らおっぱいに俺の頭を埋めさせる。
アルカリオンも負けじと俺を抱き寄せ、おっぱい無限ループが始まる。
突然だが、二人の体温は高い。
そうこうしてるうちに俺は汗を掻いてきて、喉が渇いてしまった。
なので一度おっぱい無限ループを離れ、ミカエラにお酒をもらいに行く。
「もっとお酒ちょーだい」
「レ、レイシェル、もうやめておけ。お前はたしかに酒は飲まない方が――」
「やーだー!! 飲ーむーのー!!」
「お前は聞き分けの悪い子供か!!」
「聞き分けの悪い子も可愛いものですよ」
「母上はちょっと黙っていてください!!」
もう俺にお酒を飲ませまいと器を取り上げるローズマリーにミカエラは困った様子を見せた。
これじゃお酒が飲めない……。
「んー、あっ!!」
俺は器がなくてもお酒を飲める素晴らしい方法を思いついた。
画期的な方法だ。
「アルカリオン、おっぱい寄せて!!」
「こうでしょうか?」
「レイシェル? 何をする気だ?」
アルカリオンが自らの胸を両腕で抱き寄せ、深い渓谷を作る。
俺はそこに酒を注いだ。
「いただきまーす」
その酒を啜るように飲み干す。美味い。
ほのかにアルカリオンの匂いがするからか、俺も興奮してしまった。
それを見たミカエラが目を瞬かせる。
「……ふむ、谷間酒ですか。自力でその発想に至るとは……」
「何を感心している、ミカエラ殿!!」
「実を言うと、あれはラミアに伝わる男女の契り、要はエッチ前の儀式なのです。胸の小さい女性は口移ししたりしますね」
「む、そうなのか。って、詳しい説明は求めていない!! レイシェル!! 母上!! この場で盛るのはやめてください!!」
「まあまあ、そう仰らず。ローズマリー様もどうぞ」
「ひゃっ♡ な、何をする、ミカエラ殿!!」
「レイシェル様、ローズマリー様もお飲みになってほしいそうですよ。ついでに是非私も♡」
「飲むー!!」
俺はアルカリオンとローズマリー、それからミカエラとハッスルするのであった。
―――――――――――――――――――――
あとがき
どうでもいい小話
作者「前回といい今回といい、怒られるのは覚悟で書いた」
レ「無敵の人になってる……」
「お酒弱いのか……」「幼児退行してて草」「人生で一度はやってみたいよね」と思った方は、感想、ブックマーク、★評価、レビューをよろしくお願いします。
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